児童の内面を、しっかりと見すえていくことです

2013年12月31日(火)更新:1
・『自分の思いを体で表現しぶつかってくる。子どもらしいではないですか』
http://d.hatena.ne.jp/yoshie-blog/20190422


【新・人間革命 若芽 五十五】
 保健室で山本伸一は、さらに話を続けた。
 「近年の傾向として、家庭や学校生活で悩み事があり、それが過度の緊張やストレスとなって、体調を崩す児童が増えていると聞いています。したがって、子どもが保健室に来たら、何か悩み事はないかも、よく聞き、精神的な面にも注意を払ってください。
 保健室には、教室で見せる児童の顔とは違う顔があります。そこで話を聞くなかで、さまざまな問題が発見できることもあります。子どもの訴える体の不調は、心のSOSの発信である場合も多いんです。
 ともかく、児童が訴える症状の背後にあるものを、また、児童の内面を、しっかりと見すえていくことです。
 そして、保護者ともよく連絡を取り、先生同士でも話し合いを重ねて、的確に対応していってください」
 伸一は、その後も創価小学校を訪れた折には、しばしば保健室に足を運んだ。擦りむいた児童の足を消毒し、励ましたこともある。
 彼は、校長をはじめ教職員に全幅の信頼を寄せ、小学校の運営や教育は、すべて任せていた。しかし、皆の目の届かぬところがあれば、自分が補い、支えようと心に決めていたのだ。檜舞台に立つより、陰で黙々と舞台を支える裏方に徹する――それが創立者であるというのが、彼の信念であった。
  
 年が明けて一九七九年(昭和五十四年)の三月三日、山本伸一は、創価学園講堂で行われた東京創価小学校の第一回「児童祭」に出席した。
 このころ、私利私欲にむしばまれた反逆者らが、宗門の僧と手を組み、学会の支配をもくろむ謀略が進められていたのである。
 それは、日蓮大聖人の御遺命である広宣流布を実現しようとする創価の師弟に、襲いかかった試練であった。
 そのなかで伸一は、人類の、世界の、未来を見すえ、創価小学生ら次代を担う子らの励ましに、生命を燃やしていたのである。
   (聖教新聞 2013-12-25)