詩 誰人にも知られぬ仕事 これが大事だ

2014年2月16日(日)更新:3
【池田名誉会長 桂冠詩人の世界 「命」支える農漁光部に最敬礼 誰人にも知られぬ仕事 これが大事だ】
●眼下には、穏やかに波打つ相模湾と漁港の町が広がっていた。港の岸壁に停泊した船は次の仕事を静かに待つ。水揚げされた海の幸は、あの民家やこの民宿の“きょうの食卓”にも並ぶのだろうか。
 1986年(昭和61年)6月。池田名誉会長は神奈川・真鶴半島の高台に立った。
 真鶴港から漂う潮の香りを呼吸しながら、海に生きる人々の苦労に思いを馳せた。自身も“海苔屋の息子”である。
 「板子(いたご)一枚下は地獄」といわれるように、漁業は常に危険と隣り合わせだ。命を懸けた漁師たちが、海から大切な命をいただく。その命が「食」となり、今度は、私たちの命を支えてくれる。食前の「いただきます」という一言には、そうした無数のかけがえのない命への、敬虔(けいけん)なる感謝が込められている。
 あす17日は「農漁光部の日」。皆で祈りたい。農漁業に携わる友に福徳の実りよ多かれ、幸福の大漁旗よ翻れ――と。


 春が躍動の象徴なれば
   秋は知性の季節である。
 夏が情熱の乱舞の時なれば
   冬は鍛錬の季節であろう
  故に私は 四季を貫き通して
    無限に価値ある人生のために
     自身の軌跡を歩むことを
      決めたのだ
         *
 一日一日を
  いかに価値多く
    過ごすか
   その人生の集積が
    その人の三世にわたる
     幸 不幸を
      決定づける
        *
 「実践」と「行動」と
  「体験」をもつ人は
    人間として最高に
     力を持ち得た人である
 理屈のみに左右されゆく人は
  人間としての根の張り方が
    浅き人である
  大風が来れば
   崩れさる事が多い
    ここに 人間としての人格の
     築き方を忘れまい
         *
 毎日 地味な
  誰人にも知られぬ仕事
    これが大事だ
  自分の振舞いを
   満天下に示すのは
    人びとが また時代が
     決定してくれると思えば
      それで良いのだ
         *
 勲章も良い 表彰も良い
  しかし それらの光輝よりも
   真摯に一日一日を自分らしく
    その職場と生活に
   善意の心を持って生きぬいてきた
    人びとの生命の輝きほど
     まぶしきものはない

 (『池田大作全集第38巻』所収、「価値の日々」より)

   (聖教新聞 2014-02-16)