新・人間革命 人間教育

【新・人間革命 人間教育二】
■伸一は、一月半ばに訪問した和歌山県の、一婦人の体験を紹介した。
──その婦人と夫は、一九五四年(昭和二十九年)に、和歌山市内で創価学会の話を聞かされる。しかし、婦人は、頭から仏法を否定し、学会を蔑むようなことを言い続けた。
学会員は、「仏法は、幸福になるための法則なんです。それを真っ向から否定していれば、いつか行き詰まってしまいますよ」と、諄々(じゅんじゅん)と訴えたが、聞く耳をもたなかった。
ほどなく、夫の事業が失敗し、夜逃げ同然で、和歌山県新宮市に移り住む。再起しようと、夫婦で懸命に働くが、ますます生活は苦しくなっていった。
多額の借金。そのうえ婦人は、胸膜炎や心臓弁膜症などの病にもさいなまれた。何もかも行き詰まった。心は、深い闇に閉ざされ、なんの希望も見いだせず、遂に生きることに、疲れ果ててしまった。
信心の話を聞いてから、三年がたとうとしていた。彼女は、二人の幼子と一緒に、死のうと思った。そして、死と向き合った時、初めて、仏法の話を思い起こした。
「祈りとして叶わざるはなしの御本尊よ。真剣に信心に励めば、誰でも、必ず幸せになれるのよ」との言葉が、胸に蘇った。(聖教新聞 2011-02-17)

2月17日更新:3