この闘争に勝つことが山本室長との共戦であり、“夜明け”を開くこと

【新・人間革命 福光三十七】
七月三日の夜遅く、田岡治子から島寺丈人に、再び電話が入った。彼女の言葉には、憤怒がほとばしっていた。
「山本室長は、大阪府警に出頭し、そのまま逮捕されました。何も悪いことなどしていない室長が、無実の罪で不当逮捕されたんですよ。いよいよ権力の魔性が、牙をむいたんです。
室長は、今日の昼間、羽田でお会いした時に、『夜明けが来た』と言われましたが、その意味を私は考えてみました。
夕張の件も室長の逮捕も、その淵源は、学会が人びとを幸せにしようと折伏を進め、さらに、立正安国のために、政治改革に着手したことから始まっています。
炭労は、学会が独自の候補者を推薦し、支援したことに腹を立て、“組合の統制を乱した”などと言って、学会員を締め出した。そして、国家権力は、一部の学会員が起こしてしまった選挙違反を山本室長に結びつけ、学会を抑えつけようとしているんです。
つまり、創価学会という、民衆の力を結集した新しい団体が、社会的に大きな力をもってきたから、今のうちに、それを躍起になってつぶそうとしたのが、今回の二つの事件だと思います。だから、この弾圧をはね返し、学会が不屈の力を発揮していくならば、民衆の新しい時代が訪れる。それで、山本室長は、『夜明けが来た』と、私たちに伝言してくださったと思うんですよ」
田岡治子は、ここまで一気に話すと、叫ぶように言った。
「島寺さん。何があっても、なんとしても、“一班一○闘争”を大勝利しましょう。これは、支部長代理の山本室長が熟慮の末に提案された戦いなんですから。
この闘争に勝つことが、山本室長との共戦であり、“夜明け”を開くことになると思うんですよ」
一人の婦人の懸命な訴えに、闘将の心は烈火となった。必死の一念から発する言葉が、生命を射貫(いぬ)くのである。
(聖教新聞 2011-10-15)

10月15日更新:3