アメリカで文明間の対話フォーラム

【人間生命の内なる無限の力 「大我」の養成・錬磨をテーマに 各界の学識者100人が出席】
アメリカの平和研究機関「池田国際対話センター」(ヨシマチ代表)が主催する、第8回「文明間の対話のための池田フォーラム」が10月22日(現地時間)、マサチューセッツ州ケンブリッジ市の同センターで開催された。「大我(たいが)の養成・錬磨」をテーマに、より良い社会の構築と仏教の「大我」の思想の関係性をめぐって行われた今回のフォーラムには、アメリカ各界の学識者をはじめ約100人が出席。活発な議論が交わされた。

「20世紀後期から21世紀にかけての現代は、まさしく人間が真に人間となるか否かの転換期」──SGI会長はかつてこう語り、仏法の「大我」と「小我(しょうが)」の思想について講演。「人間謳歌の文明」を実現するには、眼前の現象に囚われて欲望に左右される「小我」を正しく方向づけ、その奥にある普遍的な真理を悟り、無常の現象を包み込んでいく「大我」の生き方への転換が重要だと訴えてきた。
東日本大震災をはじめ、世界各地で自然災害や紛争が続く本年、池田国際対話センターではより良い社会の構築へ、あらためて人間生命に内在する無限の力に注目。SGI会長の提言を踏まえ、「大我」の思想をテーマに活動を展開してきた。

ナチス強制収容所 極限状況を乗り越えた生き抜く「姿勢」を考察〉
池田国際対話センターが開催したフォーラムには、ニューハンプシャー大学教育学教授のアン・ディラー博士、ヘブル・カレッジで人格養成・教育ディレクターを努めるバーニス・ラーナー博士、アメリカ実践哲学協会会長で、ニューヨーク市立大学哲学部長のルー・マリノフ博士らが出席。記念の講演を行った。
はじめに、池田国際対話センターのバージニア・ベンソン上級研究員が登壇。1993年にSGI会長がハーバード大学で行った記念講演「21世紀文明と大乗仏教」を紹介し、SGI会長の説く大我は「共感と行動が一体となったもの」であり、「全ての生命に内在する可能性」であると強調した。
続くディラー博士の講演は「対話に見る大我と小我」と題して。
小我をいかにして克服し、大我の生命を開いていくのかという方途に論究。そして人間の究極の可能性は外から与えられるものではなく、あくまでも生命の内面に存在するものであると結論した。
ラーナー博士は『夜と霧』の著者で、ナチス・ドイツのもとで強制収容所生活を経験したV・E・フランクル博士の生涯を考察。
フランクル博士の実存分析に言及しつつ、人間の運命を決定づけるものは「外的環境」とその人間がもつ「資質」、そしてこの二つから生まれる、運命に対する「姿勢」であると主張した。そして、いかなる極限状況にあっても、その姿勢を決定する「選択の自由」だけは、自らの手の内にあると強調。内面変革への行動によって大我を開拓し、調和と平和を実現することができると結論した。
マリノフ博士はストア学派道教、仏教を比較し、仏教の「変毒為薬」の法理に着目。「未来」を変革するのは「今」であると述べ、困難を乗り越え、大我に目覚めゆく仏教の生き方を論じた。
講演の合間には、登壇者と参加者の間で活発な議論が行われた。
レスリー大学のスティーブ・グッド准教授は感動を表しつつ、「このような取り組みを、大学などでも持つべきです」と語った。 (聖教新聞 2011-11-05)

11月5日更新:2