SGI会長は感謝の文化を現代に蘇生

【英知の光彩 名誉学術称号 受章の足跡 第7回 カナダ ラバル大学 ブリエール学長】
世界の学術機関から池田SGI(創価学会インタナショナル)会長に授与された名誉学術称号──それは、卓越した平和・文化・教育の業績を讃えて贈られたものである。同時に、そこから新たな交流が始まり、価値が創造されていくところに、それぞれの名誉称号の真価がある。そこで、昨年5月、カナダ初の名誉博士号を授与した名門ラバル大学のドゥニ・ブリエール学長にインタビュー。SGI会長との交流を通して描く、新たな学問の発展へのビジョンを語ってもらった。

〈学長は昨年5月の訪日の折に接した、SGI会長の教育の思想と実践を、貴大学の発展の新たな源とされていると伺いました〉
創価学園創価大学を訪問して、私は、創立者であるSGI会長の教育に対する深い思いが、キャンパスの隅々にまで行き届いていることに感銘を受けました。
その「思い」とは、学生を社会貢献の一流の人材に育成しようという、透徹した信念です。
わが大学では、持続可能な教育のための奨学金制度のプログラムを立ち上げております。その学生の人選は、これまで主に学業成績を基準としたものでした。
しかし、SGI会長の教育の精神に啓発を得た私は、人選の基準を、学生の持つ人間的な指導力、人道的な行動力に移したのです。
その一点に光を当てることができたことが、昨年の訪日の最大の成果でありました。

創価の学舎を訪れる海外の多くの識者が、「開かれた教育の気風」に共感を寄せております〉
私自身、深く感動したのは、学生や生徒たちがいかに世界に開かれた眼を持ち、自身を取り巻く環境や社会に開かれた意識を持って学んでいるか、ということです。
彼らは自身のため、そして社会のための教育の意義を深く理解していました。
学ぶことの目的を何よりも大切にしていました。ゆえに、心からの喜びと感謝をもって学んでいました。
その教育の精神と伝統が、小学校から大学まで一貫している──ここにこそ、創価教育の最大の強みがあると思ったのです。
こうした教育環境によってこそ、人生の至高の価値は育まれていくのです。学生の心にも、真の自由の精神を育むことができるのです。地球市民として成長していける道が開かれるのです。
人間としても、さらに職業人としても、充実した人生を歩むための素地が築かれていくのです。
その教育のあるべき価値を示し、また体現したSGI会長に私は、計り知れない影響を受けました。
大学では一般に学問の研究に重点が置かれます。しかし今回の訪日を通して私は、学生のための教育に、より重点が置かれるべきだと考えるようになりました。
今、そうした変革のためのプログラムの充実を真剣に考えております。これも、私がSGI会長から受けた重要な影響の一つと言ってよいでしょう。

SGI会長は“教育の真髄は感謝にある”と教えております。昨年の貴大学からの名誉博士号の受章のスピーチでも、学長とお母様の交流のエピソードを通して、それを強調しました〉
私が現在、こうしてあるのは、私に自立と自発の心を啓発してくれた、母の教育の賜です。その感謝を生涯、否、永遠に忘れることはないでしょう。
私たちが何かに感謝するのは、その価値に対して深い「信」を置いているからに他なりません。
また感謝するということは、自らがその価値に献身することを意味します。その献身を通して、価値は自身の中で肉化され、新たな創造をもたらすのです。
さらに感謝するということは、既成の価値に、より深い意味を与えていく力となると言ってもよいでしょう。そこにこそ、SGI会長が強調される感謝の真価があるのではないでしょうか。
私が最も深く感謝し、価値を置くものは教育です。その中でも、家庭教育こそが、一切の教育の基盤となるものと確信します。
ゆえに私は、その大切な機会を用意してくれた母に深く感謝するのです。

現代社会には“他人に何かをしてもらって当たり前”という風潮があります。「感謝なき文化」が形成されてしまっているとも言えます〉
だからこそ、自身の生き方を通して「感謝の文化」を創造するSGI会長の存在は、偉大なのです。
私がここで明確にしておきたいのは、わが大学がSGI会長に名誉博士号を授与したのは、人生のあるべき価値を体現し、それを通して社会への貢献を果たした偉大な人物を讃えてのものであるということです。
そして、その称号は学長である私個人の意志ではなく、大学の総意として贈られたものなのです。
この栄誉をカナダからSGI会長に授与することができ、私たちは、大きな誇りと喜びを覚えているのです。 (聖教新聞 2011-11-07)

11月7日更新:3