創立の魂は今も脈々と 「価値創造」は現代のキーワード

2011年11月16日(水)更新:3
【11・18 創立記念日特集 第1回 教育のための社会を 宇都宮大学 渡邊弘 教育学部教授】
私は主に、江戸時代から現代に至るまでの教育者の人物研究を行っています。慶應義塾大学の村井実名誉教授の「すごい人がいる。牧口氏は日本のデューイだ」との言葉が印象的で、1994年から『創価教育学体系』の研究を始めました。
牧口常三郎初代会長は、教育の実践者でありながら、「人格とは価値創造力の豊かなるもの」という人間観に立ち、体系的な教育学理論を構築。さらに、日本の国家主義的教育を痛烈に批判しました。これは刮目(かつもく)すべき偉業です。
この創価教育の精神が、三代の師弟によって80年もの間、継承されている事実に驚きを禁じ得ません。と同時に、この魂を継ぎ、後世に伝える私たちの責任は大変に重大です。
創価教育の精神として、具体的には、子どもの幸福という目的、学習と生活の一体化などが挙げられると思いますが、特に、対話の精神は欠かせません。
牧口初代会長は、昭和16年から同18年までの2年間で、240回以上の座談会に参加。獄中でも、さまざまな手段で対話を実践されました。
それは生命の尊厳を語り合い、平和を志向する対話です。この精神を戸田城聖第2代会長も受け継がれ、池田大作名誉会長は、世界各国の識者との対話で友好を促進されています。
「他者の話に耳を傾け、的確に応える」
この対話力こそ、今の教育現場に渇望される力なのです。
創価教育の体現者である教員の方々がつくった教育実践記録を読むたびに、「子どもたちから学ぼう」「忍耐強く子どもと向き合おう」という熱心さを感じます。
まさに、牧口初代会長が「単級教師として更に要すべきものは、熱心と慈愛なり」と教えられた通りの実践を続けられています。
また、価値創造という生き方が明確だからこそ、子どもとの信頼関係を築いていけるのだと確信します。
貧困、環境汚染、飢餓や紛争等の地球的問題郡が山積する現代にあって、ブラジルの「牧口プロジェクト」に代表されるように、創価教育の理念は世界に広がりを見せています。これこそ牧口初代会長が提唱した「世界市民」との視点が重要な鍵となっていることの象徴でしょう。
「価値創造」は、まさしく21世紀のキーワードとなっているのです。
だからこそ、創価教育の体現者が、先頭に立って、これらの問題解決をリードする人材を陸続と育てていく使命があると信じています。 (聖教新聞 2011-11-15)