真の「報恩の道」

2011年11月27日(日)更新:3
【名字の言】
「情けは人の為ならず」との言葉がある。“情けをかけても、結局、相手のためにならない”という解釈は、もちろん間違い。本来は“人のために尽くせば、巡り巡って自分によい報いがある”との意味である
先月末、九州の中・高等部による体験主張大会を取材した。いじめを乗り越えた女子高等部員が登壇。一緒に祈り、折れそうになる心を支えてくれた家族、励ましてくれた同志に感謝し、彼女は語った。「私がそうされたように、友達一人一人を大切にしていきます」
日本にかつてあった、「恩送り」という言葉を思い出した。受けた恩を、さらに別の人に送る。そうして“恩の連鎖”を広げ、温かい社会をつくろうという考え方である。恩を受けた人に報いるのは人の道。加えて、励まされた人が、人を励ませる人に成長することが、真の「報恩の道」であろう
仏法では、他者に尽くす「菩薩道」の生き方を説く。その「心」を、池田名誉会長は「人の『生きる力』を引き出した分だけ、自分の『生きる力』をも増していく」「『利他』と『自利』の一致です」と語る。友を、とりわけ前途ある青年世代を励ましたい。それはそのまま、自身の境涯を高め、社会を良くする道につながっている。(聖教新聞 2011-11-26)