「師弟」に生き抜く魂が共鳴 正義の道を青年に示したい─章教授

2011年11月29日(火)更新:2
【池田名誉会長 章開元教授との対談集 中国語 簡体字版が発刊】
中国で「史学大使」と敬愛される華中(かちゅう)師範大学元学長の章開元(しょうかいげん)(※正しい“げん”は 「さんずい+元」)教授と池田名誉会長の対談集『人間勝利の春秋──歴史と人生と教育を語る』の中国語(簡体字)版が、中国の湖北(こほく)人民出版社から発刊された。
これには、章教授が「道は違えど至る目的地は同じ──私と池田先生の出会いと深交」と題した序文を寄せている。
章教授は、現代中国を代表する高名な歴史学者であり教育者。著作の『辛亥(しんがい)革命史』は国家教育委員会の優秀教材1等賞に輝く。文化大革命の嵐を越え、改革解放以降は祖国の国際学術交流に貢献。
池田名誉会長が後に「名誉教授」となった華中師範大学の学長を1984年から6年間務め、現在、同大学の中国近代史研究所および2005年設立の「池田大作研究所」の名誉所長である。
名誉会長とトインビー博士との対談集に感銘した章教授の要請で、2005年に会見が実現。以来、2年後の再会や、書簡を通して、「歴史に鑑み、未来を志向する対話」を続けてきた。その結実が同対談集である。
序文の冒頭で章教授は、自身と名誉会長の共通点について、「戦時中に育ち、戦争の苦難を味わった」こと、「学業を断念し、社会で下積みの労働に従事したこともあり、若いころから大衆の労苦に対する共感があった」こと等を列記。そして、「創価の先師から善悪を見極める智慧を継承した池田先生は、非道な戦争に厳然たる反旗を翻している。ここに、私たちの心が通じ合うのです」と綴る。
文学への愛や、正しき歴史観の確立が重要との共通認識にも言及。「私たちは幸運です。なぜなら、長き人生の旅路において優れた師の導きを得たからです」と記している。
ここで、日本の軍国主義と戦い抜いた牧口初代会長の獄中闘争や戸田第2代会長の「原水爆禁止宣言」に論及し、同宣言を「創価学会平和運動の原点」と指摘。そして、第3代会長に就任した池田名誉会長が「学会の発展と世界平和の促進を、さらに一体化させた」と評価している。
また、SGIの設立は、学会が世界平和の運動における強大な支柱となった証しであると強調。名誉会長が見事に師の悲願を実現したと賞讃する。
続いて、章教授が師の一人と仰ぐマイナー・S・ベイツ博士の人生を紹介。アメリカ出身で、キリスト教の宣教師であったベイツ博士は、1920年に中国に渡り、金陵(きんりょう)大学(後の南京大学)の教授に。日中戦争勃発後は、自身の生命を顧みず、南京で民衆の救済活動に従事した。
章教授は、ベイツ博士の崇高な思想や人格こそが、自身を歴史の探究へ、また平和闘争へと鼓舞してきたと述懐。21世紀となっても争いは絶えない。歴史を通して人民を教育し、戦争の根源にある悪を消滅させていくことが「時代的革命」である。その「共同の使命」があってこそ「2人の出会いと深交」があり、手を携えた世界平和への奮闘がある、と認(したた)めている。
「平和への正しき進路を青年たちに明確に示しゆくものにしたい」──同対談集の中国語版の発刊は、世界の未来を担う若人たちに大きな精神の啓発を与えるであろう。 (聖教新聞 2011-11-29)