堕ちた元委員長 127 矢野絢也の執筆手法

2011年11月30日(水)更新:3
柳原滋雄コラム日記 2011/11/30(Wed) 堕ちた元委員長 127 矢野絢也の執筆手法】
 元政治家・矢野絢也の書いた著作を読むと、肝心のところで事実をぼかしたり、バイアスをかけた部分が目立つ。例えば、国会議員引退の理由については次のように記述している。「私も学会・公明党のスキャンダラスな実態をこれでもかというぐらい見てきて、これ以上議員をやるのは御免だと引退を決めていた」(『乱脈経理』313ページ)。ここには自身で起こした金銭スキャンダル事件の責任など、まったく触れられていない。客観的に見ても、明電工事件という矢野の不祥事が無関係なはずはない。
 自分が党委員長をクビになった原因には1行もふれず、さらに議員引退の理由について支援団体や党に“責任転嫁”しているだけだ。バイアスのかかった記述というほかなく、「真実」を述べたものとは到底いえない。
 “自己保身の塊”といっていい同人にとって、党や支援団体を攻撃し批判することで、相対的に自分の立場を上げるという手法を用いていることは明らかである。その意味では、形の上では「告発」の形をとっているものの、結局のところは「自己弁護」を目的とした書物と見られても仕方のない面がある。