「諸経の王」の慈悲の哲学を発信

2011年11月30日(水)更新:4
【英国ロンドンで東洋哲学研究所主催 「法華経 平和と共生のメッセージ」展】
東洋哲学研究所が主催する 「法華経──平和と共生のメッセージ」展(協賛=ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、大英図書館、国際敦煌プロジェクト、英国・アイルランド王立アジア協会、イギリスSGI)が23日から27日まで(現地時間)、イギリスのロンドン池田平和会館で開催された。22日に開幕式、23日には記念のシンポジウムが同会館で行われた。
インドからシルクロードを経て、中国、日本へと流伝し、民衆に生きる希望を与え続けてきた諸経の王「法華経」。
その歴史と精神を伝える「法華経──平和と共生のメッセージ」展は、2006年11月に香港でスタート。
創価学会東洋哲学研究所に編集を委託して発刊した「法華経写本シリーズ」や、貴重な文物等を展示し、法華経の「生命尊厳」と「慈悲」の哲学を発信してきた。
これまでに香港、マカオ、インド、スペイン、ネパール、ブラジル、スリランカで開催。今回のロンドン展は、8ヵ国・地域目となる。
22日の開幕式では、イギリスSGI創価学会インタナショナル)のサミュエルズ理事長の後、同研究所の川田所長があいさつ。
世界に東洋の英知を発信する同研究所の目的と取り組みを紹介しつつ、「“法華経展”を通じて、人類が必要とする、智慧の光が見いだされることを期待します」と述べた。
来賓からは、同研究所の活動への評価と、創立者の池田SGI会長への共鳴の言葉が多数寄せられた。
ウィンチェスター大学の平和紛争解決センター所長であるマーク・オーエン博士は「特に、パネルで紹介された、中国の敦煌の壁画に感動しました。イギリスで、さらに、このような展示を続けてくださることを望みます」と語った。
また、ロンドン大学のルチア・ドルチ博士、同大学のウィリック・ペイグル博士、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのアイリン・バーカー教授などが出席した。
東洋哲学研究所は、素晴らしい学術的な仕事をされています」「法華経を多様な角度から理解できました。特にロシアのコレクションが素晴らしい。法華経のもつ強い力を感じました」等の感想が寄せられた。
翌23日には、同会館で、同展開催を記念するシンポジウムを開催。法華経の思想・哲学、その受容の歴史と現代性をめぐって意見が交わされた。
川田所長は、現代文明の危機を打開する鍵として、牧口初代会長の「人道的競争」の概念に論及。SGI会長の「文明間対話」「宗教間対話」の壮大な取り組みを紹介した。
続いて、カンザス大学のハレル・オニール博士、東洋哲学研究所の菅野博史主任研究員(創価大学教授)が登壇。
最後にスピーチしたカーディフ大学のマックス・デーク博士は、西洋における「法華経」の受容と仏教観の変遷について語った。
参加した英国・アイルランド王立アジア協会図書館員のキャシー・レイゼンバット氏は、「異なる国籍、学術的な背景を代表する発表者による報告は興味深く、『法華経──平和と共生のメッセージ』とのテーマに応える充実した内容でした」と感想を。
さらに、参加者からは「法華経で説かれる比喩が、すべての人々に語りかける力があることが、十分に理解できました」「SGI会長が推進する、宗教間対話の重要性を改めて認識する機会となりました」「法華経を芸術、言語、哲学の視点からアプローチしたシンポジウムは、光を与えてくれるものでした」等の声が聞かれた。
なお、川田所長一行は22日、オックスフォード大学を訪れ、リチャード・ゴンブリッチ名誉教授と懇談した。
オックスフォード仏教研究センターの創設者、現会長として、英国の仏教研究をリードする同名誉教授。
2007年に、オックスフォード市で開催された「ガンジー・キング・イケダ」展、SGI会長と同大学名誉教授であった故ブライアン・ウィルソン博士との対談集『社会と宗教』が話題となり、さらなる交流を約し合った。 (聖教新聞 2011-11-30)