共戦

2011年12月7日(水)更新:2
【新・人間革命 共戦 二十一】
地域の有力者は、山本伸一の厳しい言葉にたじろぎ、あっけに取られたように、目をぱちくりさせていた。
伸一は、諄々と語り始めた。
「ここにおられる、同志の多くは、経済的に窮地に立ったり、病で苦しまれています。
しかし、その苦悩をいかに乗り越えていこうかと、真剣に悩み、考えておられる。しかも、自ら、そうした悩みを抱えながら、みんなを幸せにしようと、冷笑されたり、悪口を言われながらも、日々、奔走されている。
わずかな財産を鼻にかけ、威張りくさっているような生き方とは対極にある、最も清らかで尊い生き方ではありませんか!
仏法というのは、何が本当の幸福なのか、何が人間にとって最高の善なのか、何が真実の人間の道かを、説いているんです。
社会では、ともすれば、金銭や地位、名誉にばかり目を奪われ、“心の財(たから)”が見失われてしまっている。しかし、本当に人間が幸福になるには“心の財”を積むしかない。心を磨き、輝かせて、何ものにも負けない自分自身をつくっていくのが仏法なんです。
その仏法を弘め、この世から、不幸をなくしていこうというのが、学会なんです」
伸一は、民衆の蘇生と幸福を実現する創価学会の使命と、真実の人間の生き方を訴えていった。話が終わると、大拍手に包まれ、友人のほとんどが入会を希望した。有力者の壮年も感服し、入会を決意した。
民衆を守るために、命がけで戦おうとする情熱と気迫が、参加者の心の扉を開き、共感の調べを奏でたのである。
座談会のあと、参加者の何人かが、旅館の別室で輪になって語り合った。有力者の壮年は、興奮を抑えきれない様子で語った。
「わしは驚いたぞ。こんな話だとは、思わんかった。すごい青年がいるもんじゃ。一言一言、胸をドンと突かれるようで、後ろにひっくり返りそうで、こうやって、手を畳について、体を支えておったんじゃ。こりゃあ、本当にすごい宗教かもしれんぞ!」 (聖教新聞 2011-12-06)