何も知らないで批判するのは人間として恥ずべきことではないかと思う

2012年2月12日(日)更新:2
【新・人間革命 薫風 十三】
 三賀正夫は、恒光吉彦に、自分がいだいていた創価学会の印象を語った。
 「創価学会というのは、強引な布教と選挙で勢力を伸ばしてきた新興宗教ではないですか。ぼくは嫌いです。そもそも、創価学会には、宗教としての敬虔な祈りといったものがないでしょう」
 恒光は、思わず笑ってしまった。
 「三賀君は、学会のことを何も知らないで批判しているんだね。
 学会員は、朝晩、真剣に勤行し、最高の経典である法華経を読誦し、南無妙法蓮華経と題目を唱えているんだよ。また、学会の活動というのは、互いに励まし合い、失意と絶望の淵にいる人たちに、希望と勇気を与え、人生の勝利者へ、社会建設の主体者へと蘇生させていく、一大民衆運動なんだよ。
 何も知らないで批判するというのは、青年として、いや、人間として恥ずべきことではないかと思う。学会を、自分の目で見て、実際に、活動にも参加したうえで、評価すべきではないか」
 三賀は、そう言われると返す言葉もなかった。やむなく、学会の実態を確認するために座談会に参加した。
 そこには、笑いが弾け、感動の涙があり、賞讃と励ましの温かい拍手があった。大病を患ったが、信仰を心の支えに病に打ち勝ったと、喜びの涙にむせびながら、仏法の偉大さを訴える婦人もいた。また、僧侶でもない、“普通のおじさん、おばさん”が、他人の幸福のため、社会のために働く喜びを、力強く語っていた。そうした姿に、彼は驚嘆した。
 当時、東京大学医学部の紛争が次第に激化し、大学紛争が大きなうねりになろうとしていたころである。時代、社会の変革は、多くの学生たちのテーマであり、三賀にとっても、大きな人生の課題であったのである。
 彼は、思った。
 “学会は、民衆という社会を支える土台から変革している! しかも、人間の精神という内面からの変革を実際に行っている!” (聖教新聞 2012-02-11)