卒業する友に贈る 朗らかに青春の凱歌奏でよう

2012年3月15日(木)更新:3
【社説】
 「ORICON STYLE」が8日、中学・高校生、専門学校生、大学生を対象に調査した「2012年 卒業ソングランキング」を発表した。さまざまな流行歌をおさえて首位になったのは、合唱曲「旅立ちの日に」だった。
 この歌は、埼玉の中学校の教師が1991年、3年生を送る会でのサプライズとして準備したものだ。一度きりのはずだった歌は、評判が各地に広がり、今日、全国で愛される定番となった。
 大きな支持の背景には、青年の前途を祝福する“指導者の熱意”や成長の青春を歩んだ“若者の感謝”に寄せられる共感がある。それこそ、歌の最大の魅力であり、「卒業」の感動の源なのだろう。

〈“恩を返せる人がたくさん”〉
 先日、ある地域の未来部の卒業部員会で登壇した、中学3年生の姿に胸を打たれた。運動が大好きな彼女は昨年、若年性関節リウマチと診断された。関節の痛みや疲れから、体育の授業も受けられず、また、学級委員も思うように務められず、“人に尽くせないどころか、迷惑をかけてしまう”と、苦しんだのだ。
 「どうして自分は」「何の意味があるのか」――苦境に立つ時、人は悩み、うつむく。前を向くのは難しい。
 しかし、彼女は、悲しみや喜びを分かち合う友や、理解し、守り支えてくれる家族や教師、そして、見守り続ける師匠の存在への感謝を述べ、まっすぐな眼差しで、力強くこう語ったのである。
 「私には感謝すべき、恩を返せる人がたくさんいます。それを、自分の誇りとして、この宿命に勝ちます。自分のためだけでなく、友、家族、恩師のために、“私は負けない”という誓いの原点とするのが卒業式です」

〈最後の一歩まで退くな〉
 池田名誉会長が、次代を託す後継の友に贈った長編詩「大空を見つめて」に、次の一節がある。
 「最後の一歩まで/断じて退くな!/幸福は 前にあるからだ/後ろに引き下がる青春は/自らの宝を/捨て去ってしまうからだ」「断じて 前へ進め!/断じて 前へ歩め!/断じて 前へ行け!/必ず そこには/希望と金の汗と/勝ちゆく鼓動と/満足の魂の輝きがある」
 後継の果たすべき最高の報恩とは、一人一人が勇気をもって前を向き、自身を高めゆく人生の挑戦を貫くことである。
 卒業は新出発である。後継の栄光を見守り続ける師への感謝の心を胸に、朗らかに青春の凱歌を奏でよう。 (聖教新聞 2012-03-15)