「生命の尊厳」を世界精神に

2012年3月26日(月)更新:1
東洋哲学研究所が創立50周年 記念シンポジウム 地球文明と仏教の使命 池田大作創立者がメッセージ仏教文化研究の碩学ロケッシュ・チャンドラ博士が講演】
●博士はインド国会議員、ジャワハルラル・ネルー記念財団終身評議委員、ICCR(インド文化関係評議会)副会長、インド歴史研究評議会議長、タゴール国際大学理事などの要職を歴任。政治思想家、教育者、社会福祉活動家、作家としても活躍する
東洋哲学研究所の創立50周年を記念する第27回学術大会が24、25の両日、東京・八王子市の創価大学で開催された。ここでは「地球文明と仏教の使命」を統一テーマに、シンポジウム、研究発表が行われた。創立者の池田SGI(創価学会インタナショナル)会長はメッセージを贈り(http://d.hatena.ne.jp/yoshie-blog/20130310/)、大乗仏教を貫く「生命の尊厳」を根本的視座として、人類を覆う暗闇を突き抜ける“英知の光”をと期待した。来賓である仏教文化研究の碩学、インド文化国際アカデミー理事長のロケッシュ・チャンドラ博士が特別講演を行った。
 半世紀前、戦火に苦しむ世界に人間主義、平和主義の思想を展開しゆくために、東洋哲学研究所は誕生した。
 今回の学術大会では国内外から気鋭の学識者20人が登壇。
 冒頭、川田洋一所長は、創価の平和・文化・教育運動にあって「学術交流」「文明間対話」の推進こそ、同研究所の使命であるとあいさつした。
 24日には、インド文化国際アカデミーのニルマラ・シャルマ博士が「法華経の価値」を巡って研究発表した。
 博士は、牧口初代会長、戸田第2代会長が「価値」の哲学を「生命」と結びつけたことは非常に画期的であると強調。これによって「生命の尊厳」を体系的に示す、斬新で鋭い法華経解釈への道が開かれ、現代の要請に応えるものへと発展したと考察した。
 さらに、牧口・戸田両会長の思想を世界中に広めたのがSGI会長であると指摘。SGI会長は法華経の深遠な哲学を偉大な高みへと導き、たゆみなく平和・ソフトパワー・慈悲の社会を追求してきた。“地球を包む精神のシルクロード”で人々の心を結んできた。
 分断から調和へ、破壊から共生へ、小我から大我へと訴える「池田会長こそ現代の偉大なる聖者」と結んだ。
 学術大会では、インド文化国際アカデミー理事長のロケッシュ・チャンドラ博士が「法華経の系譜――インド・中国・日本」と題して特別講演を行った。
 その中で、法華経とは「現実に生きる民衆に対し深い影響を与えてきた偉大な精神的創造物」であると洞察。
 サンスクリットから中国語へと、創造的に法華経を翻訳した鳩摩羅什法華経に新たな生命を吹き込み、輝きを与え、社会の潮流とした日蓮大聖人。そして、法華経を現代の人々にとって最も価値あるものにした、池田SGI会長。この3人こそ、「法華経の3つの宝」であると論じた。
 また、一人一人が他者との相互理解を深め、生命を尊重する社会を築いていく。法華経では、この「覚醒の道」にこそ平和と歓喜が生まれると説かれていると指摘。
 他者に尽くす中に幸福はあると鳩摩羅什訳の法華経は教える。それを限りない源として、日蓮大聖人は、時代の不安を深くくみ取ることができた。大聖人の覚知は、生命の新たな秩序の光となり、自他に捧げられた偉業となった。そしてSGI会長は、世界の人々を法華経の春風に目覚めさせたのであると力説した。
 ここで博士は、「法華経の心」とは、全ての執着を超えて、生きとし生けるもの全てを救済すること、また、他者の苦悩を自分の苦悩として同苦していく、深い「共感の心」であると強調。
 極端な物質主義と科学技術崇拝に覆われた現代にあって、SGI会長が体現する寛大な精神を、人々は求めていると訴えた。
 続けて博士は、SGI会長の“人間主義”に言及。欲望と無関心によって、現代の人々は絶え間ない精神の荒廃に苦悩している。だからこそ、池田会長の人間主義の思想が喫緊に必要とされていると強く語った。
 また、SGI会長が現代的な言葉によって法華経を蘇らせてきたと指摘。その一例として「成仏」を「人間革命」という言葉に展開したことに論及した。
 こうしたSGI会長の言葉は「いかなるドグマ(教条)をも超越し、いかなる原理主義からも離れた台座の上に、人間の価値を置く」姿勢に貫かれていると考察。
 一方で、SGI会長が法華経の経文通りに女性の平等を訴えていること、軍国主義と戦い抜いた恩師の意志を継ぎ、平和のメッセージを広げていることに触れ、「人間の心の真の探求者」と讃えた。
 そして、若きSGI会長が詠んだ「地湧」の詩を引用しつつ、こう語った。
 ――池田会長こそ、人類に襲いかかる経済的暴力やテクノロジーによる支配などの嵐に屈することのない大樹なのです。
 池田会長は釈尊の教えを民衆の中に蘇らせたのです。 (聖教新聞 2012-03-26)