試練を乗り越え、共に咲き薫りましょう!

2012年4月21日(土)更新:3
【名字の言】
 みちのくの桜は、これからが見頃。「古来、花王と称せられ、日本の国花とし、古くは『花』といえば桜を指した」(広辞苑)。これほど開花が待たれる花もないが、とりわけ、この春ほど東北の桜を心待ちにした年もない
 岩手県釜石市の唐丹町本郷の桜並木が色づき始めたという。この桜は昭和8年の三陸津波からの復興を願い、その翌年に植樹された。以来、桜の名所と愛され、三陸の春を彩る。だが、昨年の「3・11」の津波は、この桜並木にも被害を及ぼした。顔を上げて、花を愛(め)でる気持ちになれない春だった
 今年の開花は、人々の目にどう映るだろう。地元の同志は「『試練を乗り越え、共に咲き薫りましょう!』と励まされる思いです」と。願わくは、咲く花に「希望」を見いだしたい
 桜は前年の夏に花芽(かが)を作ると、一度、眠りに入る。その後、厳しい寒さという“試練”を体験することで眠りから覚め、ぐんぐんと開花に向かう。これを「休眠打破」という。あの桜花爛漫の絶景は、試練があったからこその美しさなのである
 「今は時!」と知るや、開花に全力を注ぐ。今を精いっぱいに咲く桜の木々のけなげさよ。その姿に学び、わが人生も自分らしく、忍耐強く、花開かせたい。 (聖教新聞 2012-04-21)