御書が放つ精神性の光は第3の千年紀を照らす希望

2012年4月29日(日)更新:1
【スペイン 国立マドリード・コンプルテンセ大学 カルロス・ルビオ教授】
 過去2千年の間、聖書やコーランが人類に及ぼした影響と比較できるほど、第3の千年紀においては、御書が、グローバリゼーションの進む現代世界に大きな影響を及ぼすことになると思われます。よって、御書の持つ今日的意義は、非常に重要です。
 この地球に住む現代の人々にとって、御書は重要な二つの価値を持っており、それは特筆すべきものです。
 一つ目は、御書が放つ精神的メッセージの普遍性です。御書にある哲学・思想は、異なった人種、文化、性別など、どのような差異があり条件が異なっていたとしても、万人が共感でき活用できるものです。
 それは、封建時代にもかかわらず、女性を尊重する姿勢を示し、また庶民に分かりやすい平易な仮名文字で信徒に手紙を送るなどした、日蓮の思想や行動から感じることができます。
 二つ目は、当時の政治権力に対して勇敢に立ち上がった著者、日蓮の不屈の精神です。
 13世紀の武家社会の中で、一人の人間が、「王地に生れたれば身をば随(したが)えられたてまつるやうなりとも心をば随えられたてまつるべからず」(御書287ページ)と勇敢にも言い切った事実は特筆すべきことです。
 日蓮の魂を一言で表すとすれば、それは「戦う精神」といえましょう。
 しかしながら、日蓮には、世に言われるような原理主義的な排他性は見られません。その証拠に、日蓮が討論を尊重していたことがあげられます。
 日蓮と他の仏教指導者との討論の記録は、数多くの文献に残っています。討論で正邪を決めるという考え方には、独善性や排他性は存在しません。この方法をもって、時の政治権力を諫めたことは注目に値します。
 日蓮は、真実を叫んだゆえに起こった、ありとあらゆる迫害に対し、言論という武器で立ち向かったのです。
 現在、多くの国々では、巨大な市場経済ばかりに目を奪われ、世界の貧困の撲滅、軍縮、環境問題の解決など全人類に関わる大きな地球的問題群を軽視し、それらの課題に関心を示さない状態が顕著になっています。これは危機的な状況といえます。
 こうした政治的、社会的風潮に満足しない人々が増え続けている今日において、御書が発する精神的メッセージは多くの人々に触発を与えることになるでしょう。
 池田SGI会長が、世界の識者・指導者との対話をはじめ、卓越した人格の力と国際的な運動の展開を通して、日蓮仏法が広まっている国々以外にも、御書の精神を広められてきたことは疑う余地がありません。
 池田会長は、各個人の内面にある無限の力を呼び起こすエンパワーメント運動を牽引してきた、優れた指導者でもあります。
 会長の平和への行動、世界の識者との対話は、日蓮の精神を現代に体現したものであるといえましょう。
 こうした行動を通し、御書の中に包含されている日蓮の希望の種子が、現代の人々の心に発芽する土壌は、多くの国々において整ってきたと思います。
 池田会長はこれからも、豊富な経験と智慧により、慈愛の力をもって、その希望の種子を人々の心に植えていかれることでしょう。 (聖教新聞 2012-04-28)