大きな挑戦の時こそ、「一歩の前進」「一日の勝利」に徹すること

2012年5月1日(火)更新:3
【名字の言】
 「今日は、線一本も引けない。くやしい!」「今日は、線一本。点一つ」。北海道を代表する造形作家・阿部典英氏が、日々の素描に書き込んだ言葉である
 道立近代美術館で開催中の氏の特別展(5月6日まで)では、日記のように描き続けたデッサンの数々が展示されている。挑戦への魂の肉声が聞こえるようだ。斬新な立体作品で知られる氏だが、陰には人知れぬ精進があった
 「塵も積もれば山となる」との諺に対して、牧口初代会長は、地殻変動で大山ができることを例に、疑問を呈した。だが、地道な努力を否定したわけではない。人生の大変動期こそ、大きく成長し偉業を残せることを教えたかったに違いない
 初代会長は、何か思いつくと必ずメモした。一枚一枚に記された着想が大著『創価教育学体系』に結実。「小事が大事」を誰よりも知っていた。その出版は、首相暗殺など激動の時代、人々の幸福を開く大闘争の中で、巻を重ねていった
 ここぞという正念場に、勝つか負けるか。それはやはり、日頃の鍛錬にかかっている。「月月・日日につより給へ」(御書1190ページ)との御金言も、熱原の大法難の渦中に送られた。大きな挑戦の時こそ、「一歩の前進」「一日の勝利」に徹することだ。 (聖教新聞 2012-05-01)