法華経こそ最上の「醍醐味」

2012年5月8日(火)更新:5
【名字の言】
 「和食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録申請された。健康的で、盛りつけも美しい和食への評価は世界で定着している
 和食の基本は「うま味」にある。煮物や汁物に欠かせない出汁は、コンブやカツオブシのうま味を抽出したもの。古来、日本人は、食材の持ち味をそのまま生かしつつ、塩味、甘味等とともに「うま味」を上手に使った食生活を営んできた
 一方、西洋のうま味の代表といえばチーズ。こちらは、ミルクを発酵・熟成させて、うま味を濃縮する。ミルクのタンパク質が分解され、うま味成分の固まりが出来上がる
 古代日本では、ミルクを煮つめて作った乳製品を「蘇」といい、「蘇」をさらに熟成・加工して作ったチーズ様のものを「醍醐」といった。2年前、平城京遷都1300年の記念事業として、「蘇」を食べられると話題になったが、最上級の醍醐は幻の味だという
 乳から醍醐を精製する過程には、乳、酪、生蘇、熟蘇、醍醐の5段階がある。天台は、釈尊の経典の浅深をこれに譬え、法華経こそ最上の「醍醐味」と示した。「食」を彩る、さまざまな味がある。同じように、人生も豊かに味わいたい。妙法を根本に、自他共の幸福へ進みゆくほどの“醍醐味”ある人生はない。(聖教新聞 2012-05-08)