「何言ってるの! あなたが一番、輝いてるわよ」

2012年5月21日(月)更新:3
【名字の言】
 アメリカのある学校の授業中、実験用のネズミが逃げ出した。その時、教師はクラスの生徒の中で、一人の盲目の少年に探し出すよう頼んだ。なぜか。その子には、視力をもしのぐ、“鋭敏な聴力”があることを知っていたからだ
 後に少年は、その聴力を生かし、世界的音楽家に大成した。その名は、スティービー・ワンダー。彼は述懐している。「自分の持つ能力を先生が認めてくれたそのときに、新しい人生がはじまった」(D・カーネギー著『人を動かす』山口博訳、創元社
 先月の座談会で、心温まる光景を目にした。終了後、記念撮影が提案されると、仕事着で駆け付けていた青年が「汚れているので」と座を外そうとした。すると一人の婦人が言った。「何言ってるの! あなたが一番、輝いてるわよ」。青年の顔に笑みが広がった。以来、消極的だった彼は一変した。勇んで対話に挑戦するように
 若い命は、自信を持てば大きく伸びる。大切なのは、一歩の努力、一つの挑戦でも見逃さず、心を込めてたたえること。そのために、励ます側が絶えず後継の成長を祈り、“心のアンテナ”を磨いていくことだ
 人材を育てる人は“大人材”――この自覚で、青年を、未来っ子を、声も惜しまず励まそう。 (聖教新聞 2012-05-21)