煩悩即菩提

2012年5月24日(木)更新:1
【名字の言】
 コオロギの研究者から話を聞いた。生野菜だけをエサとする“贅沢コオロギ”から、飼料だけをエサとする“貧乏コオロギ”まで、5通りのエサの与え方をする
 1.常に贅沢 2.基本的に贅沢で、たまに貧乏 3.贅沢と貧乏が半々 4.基本的に貧乏で、たまに贅沢 5.常に貧乏――このうち、一番生命力が強いのはどれか。答えは4。飼育箱のふたを開けた途端、部屋中を跳びはねるほどだという
 近年、ストレス社会の影響で抑うつ的な症状に悩まされる人が増えている。長期間にわたってオーバーワークが続くと、精神的に弱ってしまう。しかし逆に、全くストレスのない状態だと、頑張らなくても生きていけるため、生きる意味が見いだせなくなり、その結果、やはり元気を失ってしまう
 ストレスにも、自身を高めるきっかけとなる良いストレス(ユーストレス)と、弱くする悪いストレス(ディストレス)がある。そして、同じ環境でも、それが良いストレスか悪いストレスかは、心の状態で決まってくる
 仏法では「煩悩即菩提」と教える。苦難や逆境のない人生はない。御本尊という「生命の鏡」に照らして自身を見つめ、心を磨き、強くしていきたい。どんな苦難をも成長の糧とできる人が、幸福な人である。 (聖教新聞 2012-05-24)