豊かな人生を開く“資源”は、自身の心の中にある

2012年5月26日(土)更新:4
【名字の言】
 続々と新車種が誕生するハイブリッド車。それを世界に先駆けて量産したのはトヨタである
 出発点は燃費向上率を何倍にするか。技術者は改善策を積み上げ、「1・5倍」と数字をはじく。しかし経営陣は“21世紀の課題に応えるには、2倍でなければだめだ”と。「無理です」「そうなったらこのプロジェクトは解散だ」「そこまでおっしゃるんでしたらやりましょう」(『ハイブリッドカーの時代』碇義朗著、光人社
 トヨタお家芸の「カイゼン(改善)」を超えた、全く新しい車をつくる「革命」への覚悟。これが幾多の難問を克服し、量産化を実現する“エンジン”だったといえる。すると、他社も次々にエコカーを開発。今や「2倍の燃費」の壁は破られ、技術革新が加速する
 道を開くことは、人の歩いた道を歩く以上の困難を引き受けることでもある。それでも人が挑戦する理由は、挑戦することそのものに「生の充実」があるからだ。「利益」への欲求だけで、人を驚かせるような新機軸は生まれない
 「人類にとって、本当の富とは何でしょうか」。池田名誉会長の問いに、米国の経済学者L・サロー博士は即答した。「冒険心、そして探求心です」。豊かな人生を開く“資源”は、自身の心の中にある。 (聖教新聞 2012-05-25)