ネットの危険から子どもを守れ

2012年5月26日(土)更新:5
【社説】
 「コンプガチャコンプリートガチャ)」という聞き慣れない単語に、戸惑った人も多いのではないだろうか。携帯電話などによるインターネット上のゲームで、使用するアイテム(品目)を有料のくじで手に入れる仕組みのことだ。
 希少なアイテムが出るまで、1回数百円のくじを際限なく引き続ける人が続出。その結果、男子中学生が1カ月に40万円を請求されるケースもあった。消費者庁は18日、コンプガチャ景品表示法による規制の対象になると公表した。

 〈情報流出、架空請求に注意〉
 これと前後して、スマートフォン(高機能携帯電話)内の個人情報数百万人分を、アプリ(ソフト)によって外部に流出させたとして、東京都内のIT(情報技術)関連会社が警視庁の捜索を受けた。特に、身に覚えのないメールから誘導されての、アプリのダウンロード(入手)には、リスクが伴うと認識したい。
 また東京都消費生活総合センターによると、2011年度上半期におけるスマートフォンでの架空請求の相談件数は139件(都内)。前年度下半期の14倍にもなった。携帯電話・スマートフォン利用時の犯罪被害は急増し、それは子どもも例外ではない。親が子どもの携帯のサイト閲覧を制限する機能はあるが、架空請求メールまでは防げないことが多い。
 本文に自分の名前のない、不審な請求メールは無視して削除すること。「状況確認」のURLをクリックしただけで、料金請求のメールが届くこともある。
 一方、近年指摘されるのは、子どもが“加害者”となるケースだ。子どもにとって携帯は、単なる電話ではない。ゲーム機であり、ネットへの入り口であり、人とつながるツール(道具)でもある。

 〈加害者にさせない教育も〉
 メールや掲示板に軽い気持ちで書き込んだことが、相手への誹謗・中傷になったり、プライバシー侵害になったりする。それを防ぐ教育は、今後一層、家庭でも学校でも不可欠となるだろう。携帯をめぐる新たな機能、新たなサービスは、常に登場し続けるからである。
 携帯は今や、緊急地震速報や安否確認サービスも提供するなどし、社会生活になくてはならないツールとなった。一方で、「出会い系サイト」の被害者の83%は、18歳未満だ(09年、警察庁資料)。
 子どもに携帯を持たせるなら、利便性と危険性の両面があることを認識させるべきだろう。安心・安全な携帯利用へ、親子の対話は欠かせない。 (聖教新聞 2012-05-25)