東洋哲学研究所が執筆・編集に協力 ロシアで「仏教哲学百科事典」

2012年6月1日(金)更新:2
 東洋哲学研究所(東京・八王子市、川田洋一所長)が執筆・編集に協力したロシアの「仏教哲学百科事典」が、ロシア科学アカデミー哲学研究所から出版された。出版発表会は5月23日、モスクワ市内の同研究所で開催された「比較哲学国際会議」の席上で行われた。同会議には、東洋哲学研究所(東哲)を代表して江口満委嘱研究員(創価大学准教授、哲学博士)が出席し、発表を行った。
 「ロシアの哲学界にとって、大変重要な、意義深い事典を、とうとう出版することができました」――ロシア科学アカデミー哲学研究所のアブドゥサラム・グセイノフ所長は、国際会議の40人余りの出席者の前で語った。「本書は、東哲の協力によって完成しました。わが研究所が国外の研究機関と協力して執筆・編さんを行うのは初めてのことであり、画期的なことであります。東哲の創立者である池田SGI(創価学会インタナショナル)会長に、心から感謝いたします」
 ――ロシア科学アカデミー哲学研究所は1929年に創立された、同国の哲学研究の中核的機関。グセイノフ所長は、ロシアの倫理学研究の第一人者であり、トルストイに代表される非暴力思想のロシアでの再評価の端緒を開いた、最高峰の“行動する哲学者”でもある。
 同研究所と東哲は、2008年に共同シンポジウムを行うなど、近年、学術交流を深めてきた。そうしたなか、同研究所が推進していた「仏教哲学百科事典」の編さんにあたり、日本の仏教関連項目の執筆について、東哲に依頼がされたのである。
 「日蓮」「立正安国論」「創価学会」、そして創価三代の会長のほか、他宗教なども含め16項目を東哲の研究員が執筆した。
 ロシアでは、これまで、インドや中国など分野ごとの哲学事典は出版されていたが、仏教全体を扱った総合事典の出版は初のことである。
 日本の仏教研究については研究者が少なく、日蓮大聖人についても、必ずしも公正な紹介がされてこなかった。
 今回、ロシアにおいて最も権威ある哲学研究機関による事典に、日蓮大聖人の仏法哲学が、より普遍的な思想として記述されたこと、そして創価学会、牧口初代会長、戸田第2代会長、池田名誉会長について紹介されたことは、ロシアにおける今後の日本仏教研究において、より仏法の真髄に迫った研究が進むことが期待される。
      (聖教新聞 2012-06-01)