わが友に贈る・寸鉄・人材城

2012年6月5日(火)更新:3
【わが友に贈る】
 友好の拡大こそ 仏法者の使命だ!
 地域交流を大切にし 活気と希望を送ろう!
 わが町の幸福責任者たれ。(聖教新聞 2012-06-05)

寸鉄
●「世界環境デー」にSGI会長が提言を発表。未来を照らす生命尊厳の哲学の光
●きょう「福井の日」。広布の旅路を師と共に! 誉れの同志よ断じて勝ち捲れ
●引っ込み思案は大きな欠点。強く前に出るのだ―恩師。勇気で道は開ける
●梅雨時は自転車事故多発 傘差し運転は法律違反だ 「私は大丈夫」の油断排せ
●リズム正しい生活を。不規則な時間の食事に注意 健康勝利の人生を飾れ。

【新・人間革命 人材城 四十八】
 乃木辰志は、二浪の末に、熊本大学の医学部に合格した。
 母親は、息子の辰志が信心し、慈悲の哲学をもった妙法の医師になってほしいと、懸命に祈り続けてきた。辰志が、受験勉強に明け暮れるなかで、自己中心的な考えに陥ってしまっている気がしてならなかったからだ。
 文豪ゲーテの家庭医も務めた名医フーフェラントは、「自分のためでなく、他の人のために生きること、これが医師という職業の使命であります」(注)と語っている。
 母親は、“辰志には、本当に患者を思いやる、立派な医師になってほしい”と思った。そして、真剣に入会を勧めた。
 「医学の知識を身につければ、立派な医師になれるわけではないわ。お金儲けや、自分の名誉のことしか考えないとしたら、医師としても、人間的にも尊敬できないでしょ。本当に立派な医師になるには、人間としての思想や信念、生命の哲学が必要なのよ」
 母親は、息子の大成を願い、日蓮仏法の必要性を懇々と訴えた。その言葉は、辰志の胸に深く刺さった。
 彼は、積極的に信心に励む気にはなれなかったが、一応、入会して、熊本に向かった。
 大学の入学式から数日後、母親が様子を見に熊本へ来た。彼女は“辰志を、しっかりと学会の組織につけなければ!”と思い、必死に祈って、熊本に来たのである。
 辰志は、まず大学を案内し、それから、大学近くのスーパーに行った。すると母親は、鮮魚を売っていた壮年に声をかけた。
 「この辺りに、創価学会の人はいませんでしょうか。ご存じありませんか」
 学会員であることを知られたくないと思っていた辰志は、恥ずかしくて汗が噴き出た。
 壮年は、こともなげに答えた。
 「おう、いるよ。すぐそこに、学会の学生部の拠点があるよ」
 壮年はブロック長をしているという。
 子を思う母の祈りは、事態を次々に開いていく。祈りは、宇宙をも動かす。

■引用文献  注 『フーフェラント 自伝/医の倫理』杉田絹枝・杉田勇訳、北樹出版