小説「新・人間革命」に学ぶ――励ましの幸風を友へ社会へ

2012年6月21日(木)更新:2
【社説】
 創価学会の組織は、なぜ、発展し、強いのか――。
 小説『新・人間革命』第25巻には、主人公である山本伸一の行動を通し、その“回答”が明確に示されている。
 例えば、1977年(昭和52年)5月の伸一の熊本県訪問が描かれた「人材城」の章における、壮年の述懐――。
 「先生は、一人ひとりの話に耳を傾け、真剣勝負で激励され続けてきた。懸命に、人材を見つけ、育てようとされているんだ。この励ましこそ、創価学会の生命線なんだ」(「人材城」50)

〈全力で一人一人と対話〉
 熊本滞在は、わずか2泊3日であった。その間に伸一は、寸暇を惜しんで学会員と会い、激励に次ぐ激励を重ねる。
 父の借金を苦労して返済した3兄弟の長男の壮年。ダム建設で水没する五木地域を擁する組織のリーダー。片道2時間かけて担当組織地域に通う婦人部幹部。医師を志す学生部員……。
 小説には、激励を受けたメンバーは、一部しか登場しない。
 しかし、この時、実際に池田名誉会長に励まされ、指導を受けた人は百人以上、会合参加者を含めると、千数百人に上る。
 伸一の激励について、小説は描く。それは名誉会長の行動そのものだ。
 「学会歌の指揮も執った。何百人と握手も交わした。手はしびれ、指は感触を失った。山と積まれた色紙や書籍に揮毫もした。腕が疲れ、あがらなくなったこともあった。記念撮影も数知れなかった。フラッシュを浴び続けたためか、目もいためた。
 そうせずしては、全国、全世界に広がった一千万人になんなんとする同志と、心を結び合えるわけがない」(同13)

〈皆が“山本伸一”の心で〉
 名誉会長の全生命を注いでの励ましが、「希望の光」を送り、「勇気の火」をともし、多くの同志を蘇生させていったのである。
 その人たちがまた、さらに多くの友を励まし、創価の民衆の連帯が築かれていった。
 東日本大震災後、人と人の絆の尊さが見直されている。絆は“励まし”から生まれる。学会には、社会の繁栄と自他共の幸福を願う“励まし”の伝統がある。
 わが地域、社会にあって、皆が“山本伸一”の心で、この友に、あの友に、励ましの幸風を送っていく――その運動を、私たちは「広宣流布」と呼ぶ。
      (聖教新聞 2012-06-21)