希望のある限り人生に行き詰まりはない。希望をつくりゆく力こそ信心

2012年6月23日(土)更新:3
【名字の言】
 壮年は不安だった。死を連想する病名を宣告されたからだ。病院通いが続く。独り暮らしで、誰に相談することもできない。悶々とした日が続いた
 壮年の病を耳にした学会員の先輩が駆けつけた。7年前、壮年と同じ病を経験していた。体験を通しての真心の励ましに壮年は心から感謝した。「何回も何回も、足を運んでくれて。同じ言葉でも、あの人が言うと胸に温かく響くんだ」。希望の光がともった壮年は今、真剣に祈り、病気に立ち向かう
 御書の一節「言葉というのは心の思いを響かせて、声に表したものをいうのである」(563ページ、通解)を、あらためてかみしめる。壮年は先輩の言葉の中に、どこまでも自分に寄り添ってくれる先輩の“心の温かさ”を聴いたのである
 文豪ゲーテは「現実はただひとつの姿をもつにすぎないが、希望は多様な姿を与えられる」(ビーダーマン編、菊池栄一訳『ゲーテ対話録2』白水社)と言った。希望のある限り、人生に行き詰まりはない。希望をつくりゆく力こそ信心である
 自らも希望をつくり、友に希望の光をともす。そして、人生の艱難辛苦を「共々に」乗り越える。その姿はさらに、皆の「希望」と輝く。この希望の連鎖を、今いる場所から広げていこう。
      (聖教新聞 2012-06-23)