命ある限り、広宣流布に生き抜こうという志をもった人間をつくりたい

2012年7月10日(火)更新:4
【新・人間革命 厚田 二十一】
 戸田城聖は、戦時中の軍部政府の弾圧で、牧口門下のほとんどが退転していった悔しさ、情けなさを、決して忘れることができなかった。弾圧の嵐に遭えば、すぐに信念も理想も捨ててしまう、姑息で老獪(ろうかい)な人間たちの変わり身の早さに、彼は、痛恨の思いをかみ締めてきたのである。
 戸田は、山本伸一に語っていった。
 「広布の旅は、遠く、長い。三十歳になっても、四十歳になっても、五十歳になっても、いや、七十歳、八十歳になっても、命ある限り、広宣流布に生き抜こうという志をもった人間を、私はつくりたいのだ。
 保身や私利私欲、名聞名利を目的とするのではなく、牧口先生のように、人びとの幸福のために、生涯、正法正義(しょうぎ)を貫き通す人材を、私は青年部のなかから育てていく。
 この戸田の弟子であることの“誇り”をもち続け、広宣流布という“大理想”に生き抜こうという人間だ!
 今後、いかに学会員が増えようが、皆の心から、創価の師弟の誇りと、広宣流布の理想に生きようという一念が希薄化してしまえば、学会の未来はない。いや、そうなれば、地涌の菩薩であるとの自覚も失われ、真実の幸福の道も見失ってしまうことになる。学会を、そうさせないために、青年が立つんだ。
 伸一! 君は、その事実上の原動力になるんだ。模範になれ! 永遠にだ。
 班長という一兵卒から戦いを起こし、全軍を率いて、広宣流布の大理想に突き進め!  いいな! できるな!」
 「はい!」
 決意を秘めた伸一の声が響いた。
 戸田は、鋭い視線を伸一に注いだ。弟子の顔から、微動だにしない広宣流布への信念を見て取った戸田は、口元をほころばせた。
 「頼んだぞ! 万人の幸福を築け! そのために学会は、後世永遠に広宣流布を、立正安国をめざして進んでいくんだ。
 今夜の二人の語らいが、事実上の男子青年部の結成式だよ」  (聖教新聞 2012-07-10)