どんな時も前向きで明るく朗らかに進む。そう心を定めた人は強い

2012年8月12日(日)更新:4
【名字の言】
 ちょうど30年前の夏。卒業を翌年に控えた創価大学生の集いに、創立者の池田名誉会長が出席し、ある映画の一シーンを語ったことがある
 軍隊で鬼のような上官から侮辱される青年。彼が肌身離さず持っていた一冊の本。それはモンテーニュの『随想録』だった。本を読んでいると言っては殴られ、本を蹴飛ばされ、ついに裂けてしまう。若き日に同書を愛読した創立者は、青年の苦悩を分かち合うかのように回想した
 そして『随想録』の一節を紹介し学生を激励。「真っすぐな櫂(かい)も水の中では曲がって見える。単に物を見るだけではなく、いかに見るかということが大事」――社会の荒波に立ち向かう学生にとって、「真っすぐな櫂」は、まるで自身の象徴のように思えた
 物の見方は各自の価値観に左右される。たとえ“曲がった櫂”と見られたとしても、自分が真っすぐであり続けることが何より大切だ。どんな時も前向きで明るく朗らかに進む。そう心を定めた人は強い
 何があっても負けずに人生を生き抜いていく。その挑戦の姿は「“鯉の滝のぼり”のような繰り返しである」と、創立者はスピーチを結んだ。真っすぐに、試練に負けず、のぼり続けた者――それが真の勇者であることを忘れまい。 (聖教新聞 2012-08-12)

※《櫂(かい)》 船をこぐのに用いる木製の棒。