君たちは、創価新時代の令法久住の先駆なんだよ

2012年9月4日(火)更新:2
【新・人間革命 厚田 五十六】
 山本伸一は、田原薫に言った。
 「『御義口伝』は難解かもしれない。それでも挑戦し、一節でもいいから、身で拝そうとしていくんです。すごい力になるよ。
 私も、戸田先生にお仕えして以来、深く心に刻んできた『御義口伝』の一節がある。
 『一念に億劫の辛労を尽せば本来無作の三身念念に起るなり所詮(いわゆる)南無妙法蓮華経は精進行なり』(御書七九0ページ)の御文です」
 ――ここには、一生成仏の要諦が説き明かされている。「本来無作の三身」とは、一言すれば、自身に具わった仏の大生命である。その大生命を、瞬間、瞬間、湧き出していくための要件とは、わが一念に「億劫の辛労」を尽くすことだ。「億劫」とは、長遠の時間を意味する。その長い間にわたる無数の辛労を一瞬に凝縮したような、全身全霊を傾けた仏道修行のなかに、仏の智慧と生命力が湧き上がってくるのである。
 「この御文は、苦難を恐れぬ、真剣勝負の戦いがあってこそ、自身の一生成仏、人間革命、境涯革命があることを教えられているんです。私の日々は、ある意味で、大地にわが身を叩きつけるような、苦闘の連続だった。涙も涸(か)れるような悲痛な時を、何度も経験してきました。
 そのなかで、この御文を心の支えに、わが心を燃え上がらせ、唱題に唱題を重ね、すべて乗り越えてきたんです。私は勝ちました。
 君も、広宣流布のため、人びとの幸せのため、自身の未来のために、勇んで辛労を尽くしていくんだよ。
 そういえば、田原君は、私が学生部の代表に行った、『御義口伝』講義の受講生じゃないか。このメンバーは、私が会長就任後、未来のために育成した後継のグループの第一陣だ。私は全精魂を注いだんだ。
 世代的にも皆の使命は大きいよ。私と共に戦い抜いて二十一世紀の広宣流布の流れを開き、さらに、次の後継の世代を育て守って、未来への確かなる大道をつくるんだ。君たちは、創価新時代の令法久住の先駆なんだよ」
   (聖教新聞 2012-08-20)