目の前の人を、どう励ますか。どういう社会を築いていくか

2012年9月5日(水)更新:1
【名字の言】
 地球上で最も栄えている生物は昆虫だ。ここまで繁栄できたのは、体が小さいこと、空を飛べるようになったことが大きいという
 そんな虫の世界を、昆虫写真家の海野(うんの)和男氏は撮り続けている。時には魚眼レンズを手に、地面に這いつくばることも。氏は「そこには上から見下ろす視点とはまったく異なる非日常的な昆虫の世界が広がっています」(「DAYS JAPAN」8月号)と語る
 大局的な視点を「鳥の目」、個々に目を配ることを「虫の目」によくたとえるが、実際、「虫の目」は数百から1万以上ものレンズが集まる「複眼」という構造を持つ。遠くのものまで見通す「視力」は人間の目に劣るが、目の前で動くものを捉える「動体視力」は人間よりもはるかに高い。ハエには、ダルビッシュ投手の剛速球も止まって見える
 同じものを見ても、見え方は種によって全く違う。そこから人間は、固定観念にとらわれず、異なる視点から物事に光を当ててみる“複眼思考”を学ぶことができよう
 仏の智慧を「如実知見」と説く。森羅万象を見通し、衆生を救済するための智慧を持つのが仏である。目の前の人を、どう励ますか。どういう社会を築いていくか。「仏の目」を、信行の実践で磨いていきたい。
   (聖教新聞 2012-08-21)