道理は拍車と手綱の中間にある

2012年9月6日(木)更新:1
【名字の言】
 第2次世界大戦の時、イギリスの街角にはポスターが貼られた。「KEEP CALM AND CARRY ON (落ち着いて行動しましょう)
 ロンドン空襲など、ナチス・ドイツの猛攻は熾烈を極めていた。この戦争には勝てないのではないかとの不安も、国民の間に漂っていた。混乱のさなかにあって、しかし人々は右往左往せず、日々の仕事を淡々とこなし続けたという(『驚きの英国史コリン・ジョイス著、森田浩之訳、NHK出版親書)
 激情に走らず、極論に流されない。それがイギリス経験論にもとづく、英国民の長所といえるかもしれない。池田名誉会長は「道理は拍車と手綱(たづな)の中間にある」とのイギリスのことわざに着目し、そこに仏法の「中道」にもつながる知恵を見いだしている(長編詩「七つの海へ 人間の世紀へ」)
 テレビのニュースやネット情報があふれる昨今――さまざまな事件や事故にふれるたび、人々の感情は激しく揺さぶられがち。なればこそ、私たちは、まず大きく深呼吸をして息を整え、ものごとに対処したい。そして、常に誠意を忘れず、人種・国籍を超えて、目の前の「一人」を大切にしていきたい
 冒頭のポスターの標語は、いつの時代にあっても欠かせまい。
   (聖教新聞 2012-08-22)