きょう、ドクター部の日 生命尊厳の哲学と慈悲の精神を

2012年9月15日(土)更新:4
【社説】
 命の掛け替えのなさを、多くの人が見つめ直している今。「生命」がキーワードとなる時代が到来している。きょう9月15日は「ドクター部の日」である。
 同部は1971年に発足。75年9月15日、池田名誉会長が出席して行われた第3回総会が、記念日の淵源となった。
 席上、名誉会長は、医術に優れた四条金吾に宛てられた御聖訓「蔵の財よりも身の財すぐれたり身の財より心の財第一なり」(御書1173ページ)を拝読した。

〈苦しむ人々に寄り添って〉
 名誉会長は、生きようとする意欲、生きることへの希望と勇気、張り合い――こうした「心の財」が、健康に生き抜くための大きな力になると強調。医療の技術だけをもつ「病気の医師」でなく、人間の生命を最も輝かせる生き方を示す「人間の医師」であってほしいと望んだ。
 この指針を胸に、友は各地で活躍を広げる。山口県のあるメンバーは長年、救命救急医療に従事してきた。不規則な勤務の中、時間をこじあけては広布の最前線へ。10年間、地区部長として地域を駆けた。東日本大震災では、ドクターヘリで被災者の救援に尽力。救急専門医としての実績が認められ、本年秋から大学付属病院の教授として赴任する。患者の側に立った慈悲の医療に尽くしていく。
 小説『新・人間革命』の「人材城」の章で、名誉会長は、文豪ゲーテの家庭医も務めた名医フーフェラントの言葉を紹介している。いわく「自分のためでなく、他の人のために生きること、これが医師という職業の使命であります」(杉田絹枝・杉田勇訳)と。
 どんな人であれ、「生老病死」を逃れることはできない。その根本的な苦悩をいかに乗り越えるか。ここに仏法の出発点もある。妙法を根底に、わが生命を磨き鍛えながら、苦しむ人々に寄り添い、共に病に立ち向かうドクター部こそ、万人が希望に輝く「健康の世紀」「生命の世紀」の開拓者にほかならない。

〈病魔も烈風も断固打ち破る〉
 先日のドクター部の大会に、名誉会長は「いかなる病魔も、いかなる烈風も、断固と打ち破りながら、恐れず惑わず、悠然と戦い抜く。この大賢人たるドクター部が行くところ、向かうところ、皆がはつらつと前進し、健康と勇気の生命を輝かせていくことができます」とメッセージを寄せた。“ストレス社会”ともいわれる現代。生活習慣病精神疾患など、健康への不安も多い。生命尊厳の哲学と慈悲の精神を一段と社会へ広げたい。
   (聖教新聞 2012-09-15)