「年だから覚えられない」との自己暗示が能力を抑えてしまう

2012年9月20日(木)更新:1
【名字の言】
 脳科学者の池谷裕二氏の講演で、興味深い話を聞いた。20歳前後の若者と、60代から70代の高齢者に、それぞれ単語のリストを見せ、記憶力を比較する実験。事前に「これは心理学のテストです」と伝えて行うと、年配者と若者の正解数に、ほとんど差はなかった
 ところが「これは記憶のテストです」と説明して同じ実験をすると、年配者の方だけ正解数が約3分の2に落ちた。「年だから覚えられない」との自己暗示が能力を抑えてしまうという
 先日、青年部主催の仏法セミナーに参加した。最前列で、90歳の多宝会の婦人部員が26歳の友人と参加していた。セミナーと、婦人の真心の対話に感動し、友人は本紙の長期愛読者に。これまで115人に弘教を実らせてきた、その婦人。今度は、旧友の孫と一緒に本部幹部会の中継行事に参加し、仏法対話を継続中という
 「年をとった分だけ、たくさんの出会いがあって、“感謝”が増えていく。だからうれしくって、ますますじっとしていられないの」。年だからという遠慮は全く感じられない
 御書に「年は・わか(若)うなり福はかさなり候べし」(1135ページ)と。年齢を重ねるごとに生命力を盛んにし、人生を豊かにできる信仰の真髄を多宝の友の笑顔に学んだ。
   (聖教新聞 2012-09-20)