君らこそ 未来からの使者

2012年9月23日(日)更新:8
【池田名誉会長 桂冠詩人の世界 きょう少年少女部結成記念日――全ての後継の友へ 君らこそ 未来からの使者】
 おお はるかなる空想の彼方から 未来の騎馬の姿に輝きながら 広い荒野を駆けきたる小さき友よ 金風にますます乱舞する朗らかな君よ 君らこそ 新しい都へと急ぎゆく 大いなる 未来からの使者だ
 もぎたての果実のように 柔軟な心 寒暖計のように 敏感な心 すべてを満身にうけながら しかも不正を憎む 日出(いづ)るいのち
 君たちは視るだろう 漣(さざなみ)の涯(はて)に 希望の虹がかかるのを 君らは聴くだろう 一枚の木の葉にも脈打つ光の鼓動を
 君たちよ! 君たちよ! 温かくして強い魂の波動で 生きとし生ける すべてに応答しながら 溌剌たる青竹のように 鋭く 天空を刺し貫いて あくまでも 真っ直ぐに伸びたまえ
 君は 未完成の彫塑(ちょうそ)といってよい あらゆる自由の造型への世界を秘めながら やがて 人生の舞台へ さっそうと登場するのだ しみいるような 純白のキャンバスに 来る日も 来る日も 自分らしい青春の金文字を 胸ふかく録したまえ
 夏空にうかぶ 白い雲に叫んだ その声は いつの日も 気圏に谺(こだま)しつづけているだろう 凍てた夜の 星座に誓った あの祈りは いつの夜も 満天に結晶して 燦(きらめ)くにちがいない
 少年の日々に 心に刻みつけた いくつもの憧憬(おもい)を 君たちよ 水の流れの如く いつまでも持続したまえ
 君がやっと掴んだ この真実の核は 暗夜の海に 清冽(せいれつ)な光を放ちながら 不滅の灯台と輝くにちがいない
 君よ 君たちよ 波にむかう船出の日は近い 人生の航路の海は荒くとも あかあかと ひとり胸に燃えゆく 理想のたいまつは 消すべくもないだろう
 ああ いつの日か 世の陰惨(いんさん)に触れずにはすむまい 汚れなき生命に 悲哀を味わうこともあるだろう けれど 君よ 君たちよ―― どれほどの圧迫をうけようとも あの日の いとけない双頬(そうきょう)に 大人びた影は射しても 心に翳(かげ)りなき君であってほしいのだ
 君よ! 君は 限りなき創造の世界の王子 どんなに屹(き)り立った岩に行き逢っても 挫折などという言葉で 甘美に 自分を慰めてはならない ただ一人 渾身の力で 現実を くやし涙で極限に挑戦しゆくことだ
 荒波に揉まれるがいい 絶壁を攀(よ)じ登るがいい 炎熱の日々に汗を流すがいい 休息を知らぬ若き不撓の力で 自ら希(ねが)った荊(いばら)の道を切り拓(ひら)くがいい
 その瞳は 純粋な生命の小窓 透明な精神の鏡を 歪んだ才知の濁りで曇らせてはならない 無辺に変わりゆく社会を直視しながら 凛冽(りんれつ)の怯まざる行進を続けたまえ
 雛鳥もやがて鳳となる ああ その羽搏(はばた)きが大空をおおう時 なべての継続の辛労は昇華され ものみな人間勝利の歓喜に包まれて 高らかに凱歌を歌うにちがいない
 未来の人類たる君よ! 君の心に 掌(て)のなかに 円い地球の運命は托されている 小さな世界は 君たちの庭園 近い未来は 君たちの所有 そのにぎやかな前途を 僕は心から祝福したいのだ
      (「少年」より)


●池田名誉会長は未来部に語る『希望対話』を始めるにあたり、蝶が「さなぎ」の殻を割って出る話を紹介している。冷たい空気に身をさらし、やがて鮮やかに羽を広げて大空へ羽ばたく姿を通し、“自分の羽で飛び始めようとしている”未来っ子に呼びかけた。
 「『成長』のときだからこそ、いっぱい『悩み』がある」 「『すばらしい日々だった!』と満足できる青春であってもらいたい。そのためなら、何だってしてあげたい」
 子どもは、大人になる過程で、多くの試練にぶつかり、自身の殻を破りながら成長する。その時、大事なのは大きな励ましと支えである。
 ゆえに、名誉会長は、誰よりも未来部の成長を祈り、励ましを送り続けてきた。
 きょう9月23日は、少年少女部結成記念日。師と共に歩んだ歴史は47年目の佳節を刻んだ。
 一匹の蝶が小さな花に止まった。名誉会長は、大空へ舞いゆけと期待を込めて、レンズを向けた。
   (聖教新聞 2012-09-23)