どんな境遇にあろうと、師を求め、教えの通り、実践する

2012年9月26日(水)更新:1
【名字の言】
 古代ギリシャの哲学者で、ストア派創始者でもあるゼノン。優秀な弟子がたくさんいる中で、学派の継承者に選んだのは、クレアンテスという弟子だった
 クレアンテスは頭脳明晰なほうではなかった。水汲みや大麦炊きを仕事とする生活は貧しかった。紙が買えず、師から学んだことは、陶器の破片などに書き留めた。彼は、働いた手で、師の言葉を書き残す生き方を誇りとした
 どんな境遇にあろうと、師を求め、教えの通り、実践する――労苦と努力を惜しまない人生を歩み抜いてこそ、真の後継者となれる。そこに峻厳な師弟の絆がある
 地道に信心に励む壮年部員の姿が頭に浮かんだ。彼は、本紙に連載される池田名誉会長の小説『新・人間革命』を日々、書き写していた。「毎回、池田先生から信心の薫陶を受けているような思いでした。ここから、学会精神や師弟の心を学びました」。その後、彼は病と闘うことに。しかし、日々、自身の生命に刻んできた「師の言葉」「信心の確信」を胸に勝ち越えた
 「師の心をわが心に」と決めて生きる人は強い。弟子の信仰勝利の実証が、師の偉大さを、厳然と歴史に刻み残していく。そうした生き方に、すがすがしく美しい人間の輝きがある。
   (聖教新聞 2012-09-25)