きょう、学術部の日 「人々の幸福」こそ探究の原点

2012年10月1日(月)更新:1
【社説】
 きょう10月1日は、「学術部の日」である。妙法の研究者の集いである学術部は、1962年(昭和37年)9月、妙法を基調とした創価の文化・平和運動が大きく展開される中、その一翼を担う部として出発。本年で結成50周年を迎えた。
 同部の友は、それぞれの専門分野で“第一人者に”と奮闘し、勝利の実証を示してきた。広布の舞台では、各種セミナーやシンポジウムなどを開催。創価人間主義の思想を幅広く社会へ訴えてきた。当初、1期生10人からスタートしたその裾野は大きく広がり、後継の青年研究者による青年学術者会議の活躍も目覚ましい。


智慧と慈悲とを併せ持つ〉
 池田名誉会長は、先月行われた学術部結成50周年の記念大会にメッセージを寄せ、その中で、学術部は法華経に説かれる普賢菩薩のごとく、「不変真如の理」「随縁真如の智」を輝かせながら、断固として最高峰の実証を、と念願した。
 この普賢菩薩とは、法華経の説法の場に登場し、末法法華経の行者の守護を誓った菩薩である。「普」は普遍、「賢」は智慧を意味する。全世界、全宇宙に及んで尽きることのない智慧を体現し、慈悲の心で人々を守りゆく菩薩のことをいう。生命論に約せば、学理を求め真理を究めていく生命の働きといえる。
 普賢菩薩の誓いに対して釈尊は、こう指導した。“妙法を受持し実践する人々を、仏を敬うように尊敬しなさい”と。
 人々を救うために何ができるのか――この問い掛けなくして真の学問への探究はない。真剣に悩み、考えて行動する中にこそ、仏の智慧は輝く。

〈真の共生には想像力が必要〉
 先月開催された学術部のシンポジウムで、東京外国語大学亀山郁夫学長が講演した。同学長は“現代社会に生きるわれわれは、「競争」と「共生」という、相矛盾する状況の中を生きている”と強調。「真の意味での平和的共生」を可能とするためには、「他者の幸福、他者の不幸を、自らの幸福、自らの不幸として感じ取ることのできる想像力」が必要であると語った。
 自身の名誉や利益のためだけの狭い目的では、真の意味での充実感・幸福感を得ることはできない。「人々の幸福のため」を常に思考し、普賢の英知で真理を探究しゆくことが学術者の使命である。
 民衆という大地に立ち、人類の幸福と平和の建設へ進む妙法の“戦う学術部”の活躍に期待したい。
   (聖教新聞 2012-10-01)