「体育の日」に思う 心身共の健康へ 適度な運動を

2012年10月8日(月)更新:3
【社説】
 一流アスリートといえど、理想とするイメージどおりに身体を操る難しさに、常に悩まされていると聞いた。ねらった大会で、最高の結果を出すために鍛錬を積み重ねる日々の中では、選手が心身と深く”対話”することが必要だという。
 きょうは体育の日。体が発しているメッセージに耳を傾け、あらためて健康づくりを考える機会としたい。
 ランニングやウオーキングがブームになる一方で、内閣府の「体力・スポーツに関する世論調査」(2009年)では、国民の約74%が運動不足を感じている。実際、一日の歩数の平均値は年々減少し、男性は平均約7100歩、女性は約6100歩と、健康のために勧められる「1日1万歩」の目標に遠く及ばない。

〈不足すると死亡原因にも〉
 また、厚生労働省によると、1日30分以上の運動を週2回以上行う習慣があるのは、男性で約35%、女性で約29%と、こちらも低い。さらに、交通機関が発達し、掃除、洗濯、料理、食器洗いといった家事に便利な家電製品を普及して、汗をかいたり、力仕事をしたりすることが少なくなっている。
 適度な運動は血中の糖や脂質の代謝を促し、生活習慣病の予防効果を生む。だが、ハーバード大学の研究チームによれば、世界の10人に1人は運動不足に起因する疾患のために死亡しており、これは喫煙や肥満に匹敵する要因だという。運動不足が「パンデミック(世界的大流行)状態にある」とも。
 運動するにあたり大切なことは継続することだ。家事や仕事の最中に、背伸びや手首・足首の旋回運動など簡単なストレッチを取り入れたり、テレビやラジオの体操を日課にしたりするなど、工夫したい。

〈楽しく行い長続きさせる〉
 自分なりの目標を立てたり、友人と競い合ったりして、楽しみながら運動を行うのも長続きのコツだ。とはいえ、急な運動や過度の負荷は避けよう。激しい運動をした後は、きちんと休養をとって疲れをためないようにしよう。
 池田名誉会長は「信心の行動には、何ひとつ無駄がない。あらゆる点で、一番有意義な行動になっている」と常々語っている。会合への参加、友との語らいに、さっそうと足を運べば運ぶほど福徳を重なり、健康増進にもつながる。
 どこからともなく漂ってくるキンモクセイの甘い香りにつつまれ、コスモスや秋の実りを眺めながら、心身共の健康へ勇気ある一歩を踏み出していこう。
   (聖教新聞 2012-10-08)