全国地域安全運動 住民が支え合い“安心”を築こう

2012年10月12日(金)更新:3
【社説】
 今月11日から20日までは、「全国地域安全運動」の期間である。警視庁では特に「振り込め詐欺」「性犯罪」「ひったくり」「侵入窃盗」に注意を促し、「子どもの安全」を訴えている。
 昨年の刑法犯認知件数は148万765件を数えるが、被害者になりやすいのが女性、子ども、高齢者である。女性被害の約80%を占めるのが窃盗犯罪。男性に比べて力が弱く、バッグの中に財布などの貴重品が全て入っているため、ひったくりの標的になりやすい。

〈荷物は歩道側、カゴにカバー〉
 2010年にひったくり認知件数がワースト1になった千葉県は、「4つのカエル作戦」を呼び掛けた。すなわち、「バッグはたすきにかけカエル」「手荷物は歩道側にもちカエル」「バイクの音にはふりカエル」「自転車のカゴにはカバーをつけカエル」。チラシなどでこの4点をアピールしたところ、翌11年は前年比で被害が半減。地域の安全運動が実を結んだ例といえよう。
 パトロールの強化で、子どもへの不審な接触が減った地域も多い。青色回転灯を装備して巡回する“見せるパトロール”を心掛けたり、犬の散歩を利用した“わんわんパトロール”で参加の輪を広げたりする工夫例もある。
 一方、お年寄りを狙う「詐欺」は後を絶たない。その背景には、一人暮らしの高齢者の増加がある。相談相手の少ないお年寄りの「心の隙」「孤独」を、悪質業者は巧みに突く。だます手口も巧妙化している。地域でお年寄りを孤立させないことが大切だ。暮らしを見守り、普段と違う様子の変化に注意したい。
 例えば、見慣れない車が長時間止まっている。不自然なリフォーム工事。年金支給日に見知らぬ人の出入り。玄関先の見慣れないダンボール箱。必要以上に置いてある健康食品などである。

〈“死角をなくす”強い意識〉
 犯罪の多くは、人の見ていない場所で発生する。逆にいえば、人の目のあるところでは起こりにくい。わが地域から人の目が届かない死角をなくすという、強い意識付けが大事になる。
 多くの事件には予兆がある。池田名誉会長は、安穏な人生を生きるために「小事をおろそかにすると、大事を見失います」「心をひきしめて注意していけば、大事に至る芽を摘むことができます」と語っている。
 地域で見守り、地域で支え合い、共に安心・安全な暮らしを築いていきたい。
   (聖教新聞 2012-10-12)