民音創立記念日 民衆の心と心を結ぶ“音楽の城”

2012年10月18日(木)更新:3
【社説】
 「思わず『ブラボー!』と叫んでいました」「“音楽が国境を超える”って、こういうことなんですね!」
 本年夏、アルメニア共和国から来日した「アルメニア・リトル・シンガーズ」の見事なハーモニーが列島を魅了した。
 民主音楽協会民音)が主催し、同国と日本の外交樹立20周年をことほぐ意義が込められた公演。これにより、民音の文化交流は105カ国・地域に広がった。民音では、国内外の音楽家らを招き、年間約1000回のコンサートを開催している。1963年(昭和38年)の創立以来、鑑賞者は延べ1億1000万人を超える。


〈“相互理解こそ平和の礎”と〉
 また若手指揮者の登竜門として名高い「東京国際音楽コンクール」や「学校コンサート」などの文化事業を推進。「民音音楽博物館」(民音文化センター内)は民間で日本最大級の音楽資料を誇る。
 世界有数の音楽団体として活動する民音。その淵源は、創立者・池田名誉会長の平和への信念にあった。
 61年(同36年)2月、アジア歴訪の途次で名誉会長はビルマ(現ミャンマー)へ。名誉会長の長兄が戦死した地。悲惨渦巻く戦争を二度と繰り返さないために必要なことは何か――名誉会長は、民衆と民衆の相互理解こそ、崩れざる平和の礎であると結論。音楽、芸術の幅広い交流を目的とした団体の創設を決意する。
 民音誕生前の懇談会で、名誉会長は「庶民が“下駄履き”で行けるコンサートをつくろうよ!」と語った。その一言が忘れられない、と民音の小林啓泰代表理事は振り返る。「そこに、民衆に根ざすとの民音の『創立の精神』が凝縮していると思うからです」


〈人類の未来を照らす交流〉
 小説『新・人間革命』には、創立時の様子が、次のようにつづられている。
 「(民音に偏見をもつ人々も)やがて、その認識が誤っていたことに気づくはずだ。三十年、四十年とたった時には、民音の社会的な意義の深さに感嘆するにちがいない」(第8巻「清流」の章)
 民衆の心と心を結ぶ“音楽の城”“平和の泉”として、多くの人々に愛される民音。「人類を文化で結ぶ」名誉会長の活動をたたえ、ロシア連邦から「友好勲章」が授与される(2008年)など、人類の未来を照らす文化交流の光彩に、世界は称賛を惜しまない。
 あす18日は、「民音創立記念日」。明2013年、創立50周年の佳節を刻む。
   (聖教新聞 2012-10-17)