キャンパスに人間主義の潮流

2012年10月27日(土)更新:3
【社説】
 錦秋の候、全国各地で「大学祭」(学園祭)がにぎわいを見せている。近隣住民や受験生などの来学者を迎える学生の姿は、爽やかで頼もしい。
 一方、ベネッセ教育研究開発センターが行った調査(2008年)によると、大学生が入学後に力を入れている活動の上位は、「趣味」(67・8%)、「大学の授業」(58・4%)、「アルバイト」(52・7%)と続く。全10項目の選択肢の中で、「学校行事やイベント」(20・4%)は8位。どちらかといえば、個人のために時間を費やす志向の強いことがうかがえる。こうした風潮の中、男女学生部のメンバーは、自発的に大学祭に参加している。


〈時代変革の波を起こす〉
 群馬県のある大学では、日中国交正常化40周年を記念し「日中友好への叫び」展を開催。県内4校に通う学生をはじめ、1048人に中国に関する意識調査を実施した。さらに、両国の友好に尽力した先人たちの足跡や、「日中国交正常化提言」を発表した池田名誉会長と周恩来総理との友誼の歴史などを紹介し、未来を担う学生へ平和友好を訴えた。
 その模様は、同県の日刊紙、全国紙の地方版などで報じられ、来場者からも「(日本人とか中国人という立場にとらわれるのではなく)一人の人間として互いに友情を結ぶべき」など、多くの共感の声が寄せられた。
 この他にも多くの大学で、学生部員による展示や劇、識者を招いての講演会等が開催される。新鮮な問題提起で、人間主義の拡大へ時代変革の波を起こす。
 学問の探究や、将来の夢への自己研さん――学生部の友は、周囲の学友と共に、キャンパスで努力を重ねている。その原動力とは何であろうか。


〈魂の発露としての尊い奮闘〉
 小説『新・人間革命』第18巻「師子吼」の章で、山本伸一会長はその心を、次のように語る。「学生部員は、母校を愛し、誇りに思うから、わが大学をよくしようと、大学祭で哲学の復興を訴えるなどして頑張っている。信仰者の魂の発露として、学生部員の奮闘がある」
 さらに、限りない励ましを込めてつづる。「各地の大学祭で学生部員が活発に舞っている。母校を愛するが故に学問と自身の探究のうえに、その動きや尊し」
 時代は変わっても、師の思いを継承する弟子の奮闘は変わらない。後生畏るべしである。英知の学生部の学びと挑戦の意欲に、エールを送りたい。
   (聖教新聞 2012-10-25)