心を砕き発想豊かに親子の交流

2012年10月28日(日)更新:2
【社説】
 社会や地域の活動に適した季節となり、何かと慌ただしい日々を送っている人もいるだろう。
 目先のことで精いっぱいになり、子どもとの触れ合いがおろそかにならないよう、心を配っていきたい。子どもは、親と一緒にいる時間が短くても、親から関心を向けられ、愛されている実感があれば、心が安定し、自立へと向かうものだ。たとえ短時間でも、心掛け次第で、親子関係は幾重にも豊かになる。
 一緒にいる時はできる限り、子どもの話をじっくり聴いてあげたい。ついつい話の途中で「○○した方がいいのでは」などと口を挟みたくなるものだが、そこは我慢。子どもの気持ちに寄り添い、認め、励ます言葉を掛けていきたい。


〈多忙でも工夫を凝らして〉
 東京家政大学ナースリールーム主任の井桁容子さんは「『よく頑張ったね』『難しい問題を解けたね』と子どもの挑戦を認めてあげる。認めてあげると、子どもは自信がつき、心の土台が安定する」と指摘している。何気ないことのようだが、親から認められることは、子どもにとって、何よりの栄養なのである。
 多忙な時は、家を留守にする機会も増える。寂しい思いをさせないように、行き先、目的など、子どもに分かる範囲できちんと教えていくのも大切である。留守にする際は、メモを置き、おやつの場所を伝えるだけでも、子どもは親の愛情を十分に感じるものだ。
 ある家庭では、家族の情報共有の手段として、小さい黒板を玄関に掛け、伝言板として使うようにしている。
 親が出掛ける時には、行き先や帰宅時間を記入。子どもたちも学校での出来事や親に伝えたいことを書く。学校での頑張りが分かれば、すかさず褒め言葉を黒板いっぱいに記入。親子交流の貴重な機会になっているという。


〈挑戦の中に共々の成長〉
 池田名誉会長は次のようにアドバイスしている。「周囲が、心を尽くした分、子どもも自分も大きく成長していくことができる。また、それが、『人間を育てる』教育の醍醐味なのです」(『「教育の世紀」へ』)
 きのう25日付の本紙6面にも親子交流のアイデアが紹介されていた。子どもの伸び伸びとした成長を育むための参考として生かしたい。常に心を砕き、発想豊かに、子どもに合った、わが家なりの触れ合いを工夫していこう。その挑戦の中にこそ、親と子の成長がある。
   (聖教新聞 2012-10-26)