「いつも いつも/新しいいのちを生きよう/いま始まる新しいいま」

2012年10月29日(月)更新:1
【名字の言】
 74歳の壮年は胃がんを患い、5月に全摘出の手術を受けた。退院後、一人暮らしをしながら、食事も身の回りのことも全て自分でこなしてきた。そんな矢先、がん転移の疑いがあるとの診断。「負けられないと題目もあげてきたけど、さすがに心が折れるな」。気骨の老将も肩を落とした▼だが翌週に伺うと、再戦は始まっていた。先輩幹部から「もう一回、日々の唱題の目標を決めて、挑戦しましょう」と激励を受け、奮い立ったのだ。仏壇の横には新たに貼られた大きな唱題表。すでに一部が赤く塗られていた▼詩人の川崎洋氏が命の営みを綴った詩にこうある。「心臓から送り出された新鮮な血液は/十数秒で全身をめぐる/わたしはさっきのわたしではない/そしてあなたも/わたしたちはいつも新しい」(『海があるということは』理論社)▼壮年は苦しくなると、施設で療養中の3歳年長の妻と、支えてくれる同志の顔を思い、「負けらんねぇ」と歯を食いしばる。そして一日の目標の唱題をやり切ると、「きょうも勝たせていただき、ありがとうございました」。生きる喜びを噛み締める▼生命は常に前向きだ。前述の詩は呼び掛ける。「いつも いつも/新しいいのちを生きよう/いま始まる新しいいま」(進)
   (聖教新聞 2012-10-27)