挫折の時に可能性を信じ、努力し続けられるか否か

2012年11月2日(金)更新:1
【名字の言】
 ノーベル医学生理学賞に決まった山中伸弥氏の快挙は、後進の大きな希望となった。手術が苦手で整形外科医を挫折、研究が進まず苦節の日々――氏の体験に、多くの人が励まされた▼氏は、共に受賞が決まった英国のジョン・ガードン名誉教授への感謝を語った。「ガードン先生の50年前の仕事が正当に評価されて(中略)便乗させていただいて、受賞させていただいたようなものです」(NHK「クローズアップ現代」)▼ガードン氏も15歳の時、通知表で酷評された。担当教師は「(科学者を目指すなんて)ばかげた考えだ」「時間の無駄」と記した。その年の生物学の成績は“最下位”。氏は、この通知表を大切に額に入れ、研究所に飾っているという▼iPS細胞は、難病の治療や新薬開発などに大きな道を開く“万能細胞”という。いわば生命の持つ無限の可能性を引き出したのが、挫折を経験した2人であったことは感銘深い▼人間には、いかようにも伸びていく可能性がある。しかし、可能性のままで終わるか、開花させるか――その分かれ道は、挫折の時に、可能性を信じ、努力し続けられるか否かにあると、あらためて思う。努力は常に成功に直結するわけではない。しかし、努力のないところに成功はない。(立)
   (聖教新聞 2012-10-30)