技で秀でても、振る舞いで負けたら、本物の勝利者ではない

2012年11月12日(月)更新:4
【名字の言】
 プロ野球の日本シリーズは、読売ジャイアンツの優勝で幕を閉じた。栄光を目指して戦うのは、二軍の監督も同じ。日本一へ、戦力となる選手を一軍に送ろうと必死だ▼二軍監督が心を砕くのは、技術面だけではない。例えば、ある球団の監督は就任直後、選手にこう訓示した。「毎日、ヒゲを剃ってグラウンドに出ろ」。観客に対する身だしなみを強調したのだ。社会人としての自覚を徹底させることが、緻密なプレーの意識付けにもつながるという▼二軍で猛練習に挑み、首位打者のタイトルを獲得した選手が、自信を持って語る。「ここ(二軍)は、人間修行の場なんですよ」(『プロ野球 二軍監督』赤坂英一著、講談社)。野球界のトップの世界に入る選手たちの、能力差はわずかなもの。成功するかどうかに、礼儀や感謝という人間力が関わるという視点は新鮮だった。心を磨くことで、技術も生かされる▼日本シリーズで奮闘した、創価大学硬式野球部OBの小谷野栄一選手(北海道日本ハム)は、同部のモットー「人間野球」を心に刻む。その真意は“技で秀でても、振る舞いで負けたら、本物の勝利者ではない”ということだ▼「人間として」光ること。それは、どんな世界であれ勝つための条件である。(馨)
   (聖教新聞 2012-11-06)