「情報の管理」 いま一度確認を

2012年11月26日(月)更新:4
【社説】
 悪意のあるハッカーが他人のパソコンを乗っ取り、本人になりすまして、大量殺人や爆破予告のメールを送る。いわゆる「遠隔操作ウイルス」が世間を騒がせている。一連の脅迫事件は、警察の捜査をかく乱し、誤認逮捕にまで発展した。
 今春、総務省が発表した「通信利用動向調査」によると、国内のインターネット利用者は、およそ9610万人におよび、人口普及率は8割近くにのぼる。
 一方、過去1年間で情報通信ネットワークの利用時に発生したセキュリティー侵害をみると、40・5%の企業が「何らかの被害を受けた」と答えており、中には、顧客の個人情報の流出など、深刻な損害を受けた企業も存在する。  


〈むやみに持ち歩かない〉
 スマートフォンの登場により、ますます利便性が高まり、インターネットは私たちの生活に欠かせないものとなった。
 半面、ネット犯罪は巧妙化している。私たち利用者は、こうした脅威にさらされているということを強く自覚し、セキュリティーソフトやセキュリティーサービスを利用するなどの、万全の態勢を怠ってはならない。
 一般的に情報漏えいの原因で最も多いのは、「紛失」や「誤操作」などの人為的ミス、いわゆるヒューマンエラーだ。
 飲食店に書類を置き忘れた。パソコンを車に置いたまま車上荒らしに遭った。重要なデータの入ったUSBメモリーやSDカードを落とした。誤って別の人にメールやファクスを送ってしまった……等、日頃の“慣れ”や“油断”といった、わずかな心の隙から、ミスを起こすことが多い。
 強い警戒心をもつとともに、まず、大切な資料やデータ等を、むやみに持ち歩かないことだ。また、場所を移動する時には、忘れ物がないかをチェックする、記憶媒体にパスワードをかけて保護する、情報の送信先を指さし確認するなど、厳重な対策を取ることが重要だ。


〈信心しているからこそ警戒〉
 日蓮大聖人は、門下に対し、「かまへて・かまへて御用心候べし」(御書1133ページ)など、繰り返し細心の注意を呼び掛けておられる。
 「信心しているから大丈夫」などという考えは、油断であり、慢心だ。
 日々の勤行・唱題を根本に、「信心しているからこそ、断じて事故は起こさない」との心構えで、最大限に知恵を発揮し、絶対無事故で本年の総仕上げを飾っていきたい。
   (聖教新聞 2012-11-26)