社説 各部一体で未来部育成に全力

2013年2月12日(火)更新:6
【社説】
 地球上の8000メートルを超える14の山々の全てを、日本人で初めて登頂した竹内洋岳氏が昨年、本紙の取材で語ってくれたことがある。頂へと挑む高高度には生物が生存する痕跡はなく、長く滞在すると死に至る極限の世界でもある。「それでも、厳密には生物がいないわけではないんです」――氏は、ヒマラヤを越える渡り鳥のアネハヅルの話をしてくれた。
 アネハヅルの全長は1メートル弱。平らな所では、それほど高く飛べない。なぜ8000メートルもの上空を渡るのか。“興味深い一説”を教えてくれた。「ヒマラヤが造山される前から、ツルはそこを移動していて、長い年月をかけて少しずつ山が高くなる中、ツルも飛行高度を徐々に上げ、今も越え続けている」

〈“信じ抜く”生き方を培う〉
 最高峰としてそびえるまでになったヒマラヤの山々が、アネハヅルを高みへと羽ばたかせる――“可能性を引き出す”ことについて、示唆に富んでいる。
 子どもの教育において、大切なこと。フランスの思想家ルソーは、小説『エミール』の中で述べている。「子どもに純真な心をもちつづけさせるよい方法は一つしかないと思われる。それは、子どものまわりにいるすべての人が純真なものを尊重し、愛することだ」と。
 多様な情報を簡単に、瞬時に得ることができる現代。一方で、望まない事実に接し、情報に含まれる悪意に触れ、心の痛みや空しさを覚えることがある。純真なものほど傷つきやすく、純真でいることが難しい時代なのかもしれない。だからこそ今、必要なことは、子どもの中に本来ある純真な心を“信じ抜いていく”生き方を周囲の大人が培うことだろう。

〈体験と確信を語る部員会に〉
 未来部を支える先輩の確信こそ、子どもたちに真っすぐ伝わる。子どもの純真な心、かけがえのない大切な存在を信じ、自らの行動で絶えず守り抜く姿は、後継の友の心を照らしていくに違いない。
 麗しい創価の世界には、信じ抜くに足る師弟の絆がある。同志や家族や自分自身、理想や正義、勝利と幸福を信じ抜く心の強さがある。そして、信心を根本とした人生で得られた数々の体験は、信じ抜く心を培い、友に希望を伝えている。
 10日は「未来部の日」。中・高等部の「未来部大会」や、少年少女部の「後継の心を学ぼう部員会」が、各地で開催される。信仰の体験や確信を、朗らかに、にぎやかに語り合いながら、各部一体で宝の未来部を励ましていきたい。
   (聖教新聞 2013-02-08)