苦闘のない人生はない。そこから私の人間革命の新たな勝利劇は始まる

2013年2月13日(水)更新:4
【名字の言】
 「人間は『斃(たお)れてのち、はじまる』と思っています」。社会学者の故・鶴見和子氏の言葉だ。彼女は脳出血で倒れた時、医師から“身体の左側の麻痺は治りません”と告げられた▼元に戻らないなら、前へ向かって進むしかない。新しい人生を切り開く、と覚悟を決めた。リハビリに励み、精力的に仕事も続けた。自身の可能性を生命ある限り、発掘し、創造し続けていきたい――その思いを歌に詠んでいる。「我がうちの/埋蔵資源発掘し/新しき象(かたち)/創りてゆかむ」(『花道』藤原書店)▼「1型小児糖尿病です。一生、治りません」――兵庫の男子中等部員は小学4年生の時、医師から告げられた。自分を責め、はらはらと涙する母を、逆に彼は「大丈夫。頑張るから、泣かんといて」と励ました▼今も毎日、インスリン自己注射を続ける。だが、負けない。自分が病で苦しむからこそ、一人でも多くの人を救いたい、と医師を目指し、学んでいる。「15」に満たない命に、人間とは、かくも強くなれるのかと教えられた▼「わたしは人間だったのだ。そしてそれは戦う人だということを意味している」(ゲーテ高橋健二訳)。苦闘のない人生はない。そこから“私の人間革命”の新たな勝利劇は始まるのだ。(芯)
   (聖教新聞 2013-02-13)