笑顔で接してくれる友の心の奥底には、どんな感情が渦巻いているのか

2013年2月24日(日)更新:4
【名字の言】
 被災地の仮設住宅集会所で開かれた生活懇談会に参加した時のこと。初めは静かな雰囲気。いったん声が出始めると止まらない▼「災害公営住宅には、いつになったら入れるのか」「どうメシを食っていけばいいのか」。次々と意見や質問が飛び出し、ざわめき立った▼耳を傾けていた仮設自治会の責任者が語り始めた。まだまだ不安なことが、たくさんある。それを何でも出し合おう。多くの人に支援してもらい、安心して生活できるよう協力していこう、と▼東日本大震災から2年がたとうとしている。がれきが片付いた被災地は、一見、何もなかったように見える。しかし、そこに住む人たちの心は、荒れる海のように穏やかではない▼「うわべの笑顔だけで判断してはいけない」。池田名誉会長が語ったことがある。「たとえば子どもがいる。貧しく、おいしいものを食べていないが、外で笑って遊んでいる。親はその様子を笑顔で見守っていても、内心、不憫だと悲しんでいるのです」▼笑顔で接してくれる友の心の奥底には、どんな感情が渦巻いているのか。そこまで分かち合えるような語らいがしたい。通り一遍の話だけでは、何より自分が納得できない。その努力を積み重ねる日々に終わりはない。(萄)
   (聖教新聞 2013-02-23)