きょうから「春の交通安全運動」 子どもと高齢者に一層の配慮を

2013年4月6日(土)更新:5
【社説】
 83万人――昨年1年間の交通事故による死傷者数だ。ここ数年、減少傾向にあるとはいえ、いまだに多くの人が事故に遭っている。特に歩行中の死傷者数は、15歳以下の子どもと65歳以上の高齢者を合わせると、実に5割近くを占める。
 自転車の危険な運転で、高齢者や幼児などの“交通弱者”が事故に巻き込まれるケースが後を絶たない。
 新年度を迎え、通勤・通学などでの交通事故には十分注意していきたい。

〈心と時間に余裕を持って〉
 福岡市中央区では4月1日から、一部歩道で自転車を降りて歩く「押し歩き推進区間」が全国で初めて設置された。同市内で年間3000件を超える自転車事故が発生し、歩行者との接触事故も増えているためだという。
 また、3月29日には、自転車の悪質な運転者に安全講習を義務づける道路交通法改正案が閣議決定した。
 あすからは「春の交通安全運動」が始まる。今回の推進項目の一つに、「子どもと高齢者に対する思いやりのある運転の促進」が掲げられた。心と時間に余裕を持って、歩行者や周囲の状況に配慮した安全な運転を心掛けよう。
 自転車が関係する死傷者の約6割に、何らかの法令違反が認められるという。片手運転やわき見運転は必ず事故につながる。無灯火や一時停止無視も危険だ。
 6歳未満の死傷者の損傷部位は、6割が頭部と顔部となっている。子どもを自転車に乗せる場合、何よりヘルメットを着用することが大事である。転倒した際に外れることがないよう、あごひもが留められているか、必ず確認しよう。
 自動車を運転する時は当然として、歩行者であっても、交通事故は「起こさない」「遭わない」を心掛けよう。自己中心的な行いや、「これまで大丈夫だった」との慢心は、重大事故に結びつくだけでなく、周囲に不快感を与える迷惑行為につながる場合もある。

〈無事故の声掛けをしっかり〉
 池田名誉会長は、『新・人間革命』「厳護」の章で、会合での無事故の呼び掛けに対する心構えとして、「“そうだ。用心しよう!”と自分に言い聞かせ、周囲の人とも確認し合うことだ」とつづっている。
 会合終了時の無事故の声掛けは、しっかり励行したい。家庭においても何度でも繰り返し声を掛け合うことで油断を排し、絶対無事故で「挑戦」と「対話」の春としていこう。
   (聖教新聞 2013-04-05)